2011 Fiscal Year Annual Research Report
卵膜由来間葉系幹細胞系統分離法の開発、ならびに分類細胞の特異的移植療法の確立
Project/Area Number |
23390145
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
池田 智明 独立行政法人国立循環器病研究センター, 周産期・婦人科部, 客員部長 (80202894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細田 洋司 独立行政法人国立循環器病研究センター, 再生医療部, 室長 (40359807)
石兼 真 独立行政法人国立循環器病研究センター, 再生医療部, 流動研究員 (40470190)
JUNG Kyongsook 独立行政法人国立循環器病研究センター, 再生医療部, 流動研究員 (00598097)
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 胎児付属物 / 卵膜 / 細胞シート / 他家移植 / 心筋梗塞 |
Research Abstract |
卵膜由来の間葉系幹細胞(MSC;mesenchymal stem cell)分類法、細胞純化および誘導法を開発し、様々な疾患に対応した最適な細胞移植療法を確立することを目的とする。卵膜中のMSCは間葉系の多様な前駆細胞を含んでおり、MSC移植療法が有効な疾患は幅広い。卵膜由来MSC移植療法の治療効果を高めるために、血管や心筋への高分化能を有する、慢性心不全に対応した卵膜由来MSC-高分化誘導シートを開発し、動物モデルを用いて有効性・安全性を検討するために以下の実験を行った。 1)妊娠15日目のSDラットから卵膜を採取し、MSCを分離・培養した。得られた細胞は、脂肪細胞、骨芽細胞、軟骨細胞への多分化能を有しており、フローサイトメトリーによる表面抗原の解析ではMSCとしての定義を満たしていた。温度応答性培養皿を用い、卵膜由来MSCシートを作製し、さらに2層に積層化したものを移植に用いた。Lewisラットの左前下行肢を完全結紮し心筋梗塞モデルラットを作製した。モデル作製4週間後、エコー評価にて心機能低下が見られたラットに対して卵膜由来MSCシートを移植した。移植4週間後、卵膜由来MSCシート移植群でコントロール群と比較して有意な線維化抑制効果と心機能改善効果が得られた。移植部位において毛細血管密度の増加も確認された。結果より、心筋梗塞に対する卵膜由来MSCシート移植療法の有効性が示唆された。しかし、移植4週間後に移植卵膜MSCの生着が確認されたが、生着細胞数はわずかであり、心筋細胞への分化は確認されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当年度は、心筋梗塞に対する卵膜由来MSCシート移植の有効性について検討した。慢性心筋梗塞モデルにおいて、卵膜由来MSCシートの他家移植は血管新生効果、心機能改善効果を有することを明らかにした。一方、移植した細胞の生着率は低く、心筋細胞への分化は確認されなかった。今後は、さらに治療効果を高めるための検討を計画している。卵膜由来MSC移植療法の有効性、改善点が明らかになったことから、砺究は順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
卵膜由来MSCの虚血性心疾患に対する治療効果を高めるための研究を行う。MSCはheterogeneousな細胞集団であり、採取する個々により、細胞集団の違いや分化効率が様々である。単一な細胞集団に分類するための方法を検索する。また、単一細胞分離後の卵膜由来MSCを用いて、従来の分離法で得られた細胞との分化効率や血管新生効果について比較検討を行うことを計画している。 次年度の研究費の使用計画 卵膜由来MSCの高純度分離法を開発し、動物実験において分離細胞を用いた有効性に関する研究を予定している。培養試薬・機材(メディウム、培養皿)をはじめ、遺伝子解析用試薬や実験動物にも研究費の使用を計画している。
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