2012 Fiscal Year Annual Research Report
新しいバイオマーカーを用いた癌の診断、治療法の構築
Project/Area Number |
23390148
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
岡部 英俊 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (70079713)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
茶野 徳宏 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (40346028)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 臨床病理 / 分子標的治療 / バイオマーカー / siRNA / 癌 |
Research Abstract |
口腔内癌において、p62/SQSTM1が高発現になると、Nrf2よりもより優位にGSH誘導が惹起され、酸化ストレス細胞死抵抗性となる。このことが癌細胞に抗癌剤治療抵抗性、放射線療法抵抗性を誘発し、臨床的予後を悪化(再発、転移)させていることを明らかにできた。現在、本内容について論文発表による報告の準備をしている。 精巣腫瘍については、DNMT3L-siRNA in vivoマウス治療実験を行ったが有意な治療効果を認めなかった。一方で、SOX2-siRNA in vivoマウス治療実験では有意な腫瘍成長阻害効果を認め、将来的な治療標的として有望であることを証明できた。本内容は既に論文報告を終えた。 DNMT3LやRB1CC1をkey moleculeとした癌化、幹細胞化に関わるゲノミクス解析ではChIP-seq解析を遂行し、解析を行った。現時点で特に有意と思われるpathwayには至っていないが、今後、解析をmodifyさせ、工夫しながら、更なるオミックス解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
乳癌、唾液腺癌におけるRB1CC1分子のバイオマーカー的評価、頭頸部癌におけるRecQ分子のin vivo分子標的治療実験、精巣腫瘍におけるSOX2分子のin vivo分子標的治療実験、これらは良好な結果を得、その内容を論文報告することができた。 一方で、DNMT3L分子に対する分子標的治療実験やChIP-seq解析をつかったゲノミクスアプローチでは芳しい結果を得ていない。今後、その研究方向性とともに内容を再検討し、解析を進める予定である。 その他、当初計画にはなかったが、RB1CC1に関わる分子生物学的解析において種々の成果を得ることができ、多くの内容を論文報告することができた。また、次世代シーケンサーを用いた網羅的発現解析から、心不全に関わる分子群の報告や、飢餓環境の癌細胞におけるグルコース代謝と増殖生存システムの報告など、幾つかの興味深い内容も報告することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、進行中であり、報告を企画している口腔癌、予後不良バイオマーカーであり、治療法決定因子にもなり得るp62/SQSTM1の報告をまず完遂させる。その上で、本分子に対するin vivo標的治療実験を行ってゆく。 癌細胞のオミックス解析とバイオマーカー分子の探索については、molecular-baseワイドな解析からスタンスを換え、癌微小環境に注目した癌細胞特異的微小環境ベースのオミックス解析に変更してゆく。具体的には癌微小環境、癌細胞酸性環境、栄養飢餓環境に注目し、オミックス解析を進める。実際、本研究方向性で一部positiveな所見が得られ、研究報告をすることもできた。今後、更に本内容を進め、工夫することによって、癌に対する新たなバイオマーカー探索を実現できると考えている。
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