2011 Fiscal Year Annual Research Report
線溶系代謝物を用いる病原性血管新生の標的医療(画像診断と同時治療法)の開発
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23390151
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松浦 栄次 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (20181688)
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Keywords | β2-グリコプロテインI(β2GPI) / β2GPI-DI / β2GPI-DV / nicked DV / 抗血管新生 / マイクロキャリア / 動脈硬化 / Theranostics |
Research Abstract |
血管新生は動脈硬化症やがんの病態悪化と深くかかわっている。我々は、血漿糖タンパク質β2-グリコプロテインI(β2GPI)が難治性の自己免疫疾患である抗リン脂質抗体症候群で見られる主要自己抗体(抗カルジオリピン)の対応抗原であり、β2GPIの第1ドメイン(DI)がVEGF拮抗分子として抗血管新生活性を有することや第5ドメイン(DV)にnickedが入ると線溶系が阻害されることを明らかにしてきた。β2GPI-DIマイクロキャリアを作製し、病原性血管新生を画像診断するために、まず大腸菌発現系によるβ2GPIドメイン単位の欠失タンパク質(DI、DV)の発現と精製を始めた。 DI、DV遺伝子コード領域に相当するcDNA断片をPCRにより増幅し、Escherichia coli用発現ベクターpET 32a(+)に組み込んだ。Escherichia coli Rosetta-gami(DE3)株はtrxB/gor変異体であるため、ジスルフィド結合の形成および可溶性を向上させる。この組換えプラスミドを宿主Escherichia coliに導入し、得られた形質転換大腸菌(Isopropyl-β-D-thiogalactoside、(IPTG)により発現誘導)を培養し、培養した菌体は破粋、遠心などの操作を行い、目的の組換えタンパク質を精製する。精製したDVはプラスミン処理を行い、nicked DVを精製する。さらに、各β2GPIドメインに特異的な抗体カラムを用いて精製し、それぞれの血管新生における機能検討を行う予定である。 本研究の目的であるDI、薬剤放出を制御するphotodymacics(PD薬剤、および治療薬(抗がん剤、抗血管新生剤)を含有するマイクロキャリアを用いた病原性の血管新生(がん、動脈硬化)の画像診断および治療が同時進行可能なTheranostics技術の開発においてDI、DVの血管新生における機能検討は病変部特異的な診断及び治療技術開発の第一歩であり、DI、DVの発現及び精製はその鍵を握る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は追加採択であったため研究開始時期が11月下旬からと遅れた。現在、研究の進行状況は順調であり、DI、DVの発現および精製を行っているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究実施計画にはDI、DVの発現にバキュロウイルス感染系、CHO発現系を用いるとしたが、宿主として昆虫細胞を用いた発現系では糖鎖付加(主にアスパラギン結合型)などの翻訳後修飾が起こるが、哺乳動物細胞の修飾と異なっている可能性も否定できないため、大腸菌発現系に変更して実行した。他については計画とおり進める考えである。
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