2012 Fiscal Year Annual Research Report
線溶系代謝物を用いる病原性血管新生の標的医療(画像診断と同時治療法)の開発
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23390151
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松浦 栄次 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (20181688)
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Project Period (FY) |
2011-11-18 – 2014-03-31
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Keywords | 血管新生 / β2GPI / nicked-β2GPI / β2GPI-DI / DOTA修飾 / VEGF受容体 / MALDI-TOF-MS / VEGF |
Research Abstract |
β2GPI(血漿糖タンパク質β2-グリコプロテインI)は5つのドメインを有するが、そのうちドメインI(DI)は、動脈硬化やがん病変局所で起こる病原性血管新生を制御するタンパク質であると考えられる。我々は、DIを含有するマイクロキャリアを作製し、病原性血管新生を画像診断するために、まずリコンビナントDIおよびドメインV(DV)を発現・精製した。また、プラスミン処理によりニックの入ったβ2GPIを精製し、全長β2GPIなどと比較しながら、DIの機能を確認し評価した。 DI、DV遺伝子コード領域に相当するcDNA断片をPCRにより増幅し、大腸菌発現系により発現させ、精製した。精製されたDIを用いてVEGF受容体との相互作用の解析を行った。ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を培養し、細胞実験を行う最適条件を検討した後、細胞の増殖に与える影響を検討し、細胞への毒性を評価した。DIによる細胞増殖を抑制する傾向が認められた。全長β2GPI、ニックの入ったβ2GPIの細胞増殖への影響はほとんど見られなかった。 さらに、担ガンマウスにおけるDI含有マイクロキャリアの体内動態をPETにより解析するためにPET用核種(64Cu)に結合するキレート剤(DOTA)をDIに修飾し、その結合を確認した。DIの一分子に結合するDOTAの数はMALDI-TOF-MSにて解析した。安定した修飾が可能であることが確認できた。 本研究の目的である、β2GPI-DIを含有するマイクロキャリアを作製し病原性の血管新生(動脈硬化、がん)の画像診断および治療が同時進行可能なTheranostics技術の開発を行うために、DIの血管新生における機能検討は病変部局所の診断及び治療技術開発の重要なプロセスであり、全長β2GPI、ニックの入ったβ2GPIおよびDVと比較することで明らかになる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の実施計画の一つであったβ2GPI-DVの発現・精製においてベクターのタグが短く、発現タンパク質が不溶分画に移行してしまうため、うまく精製出来ないことが推察されたので、新たに組換え発現中である。DIの研究の進行状況は順調であり、発現・精製が完了し、現在は血管新生関連実験を行っているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
β2GPI-DVは、N末端に6xHisタグをつけたプラスミドを構築し、C末にタグがつかないようにstop codonを入れた。シークエンスにより確認後、精製した。蛋白発現を確認したところタグを短くしたベクターでは不溶分画に移行してしまうため精製の効率が悪いことが分かったため、現在少し大きめのタグの付いたベクターを発現しているところである。今後、DIの血管新生に及ぼす影響をDVと比較しながら検討し、PETおよびイメージングMSを用いた解析に計画とおり進めていく考えである。
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