2012 Fiscal Year Annual Research Report
ポリ塩化ビフェニルの胎児期ばく露による健康影響に関するコホート内症例対照研究
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23390158
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
仲井 邦彦 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00291336)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
龍田 希 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助手 (40547709)
黒川 修行 宮城教育大学, 教育学部, 講師 (30431505)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | コホート調査 / コホート内症例対照研究 / ポリ塩化ビフェニル / 小児発達 / KーABC / 知能検査 |
Research Abstract |
我々は仙台市で実施した先行のコホート調査にて、胎児期におけるポリ塩化ビフェニル(PCB)ばく露と、出生児の神経行動学的な発達との間に、負の関連性があることを見いだした。臍帯血PCB濃度が10倍になると、3歳半の知的発達の指標である認知処理尺度が約6.7点下る結果となった。その影響の大きさは、IQ70未満の知的障害児の発生頻度を2.7倍にするものであり、PCBばく露のレベルは低いものの、有害な影響があることを強く示唆する。このため、その再検証を意図し、東北沿岸部で別に進めている出生コホート調査にて、臍帯PCB濃度と、生後3歳半における知能検査の結果との関連性をコホート内症例対照研究により明らかにすることを目指している。 コホート内症例対照研究における症例抽出は、生後42ヶ月(n=595)で実施した知能検査であるK-ABC(Kaufman Assessment Battery for Children)のスコアから4分位に分割、低スコア群から選択した。対照群は知能検査で高スコア群を中心に選択した。その際に、母親年齢、出生体重、在胎週数、児の性、母親IQ、家族年収、学歴、授乳歴、育児環境スコア、保育園または幼稚園通園の有無、家族構成(特に兄弟姉妹の有無)、血漿中ω3/ω6比、魚摂取量などを調整した。分析対象の化学物質は、塩素数7-10の主な異性体とDDEとした。臍帯血中の化学物質の測定は高分解能ガスクロマトグラフィー/高分解能質量分析計(GC/HRMS)を用いて進めている。K-ABCなどの目的変数はすでにデータベース化が完成しており、化学分析結果が揃い次第、統計学的な解析を実施する計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
過去に採取し冷凍保管している臍帯血を用いて、PCBなどの化学分析を行う研究計画であり、順調に試料の化学分析を進めている。統計解析時の目的変数(児の知能指数)や共変量(母親の体格指数や喫煙習慣など)はすでにデータベース化しており、化学分析の結果が出次第、迅速に解析を行うことが可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
臍帯血のPCBなどの化学分析の結果が出次第、迅速に解析を行う。その際に用いる目的変数(児の知能指数)や共変量(母親の体格指数、出産順位、在胎週数、妊娠中の喫煙習慣や検査時の受動喫煙の有無、母親IQ、家庭収入、育児環境など)はすでにデータベースとして確立した。このため分析結果が出次第、重回帰分析または共分散構造分析などの手法により解析を行う。 得られた研究成果は、日本衛生学会などの学会で報告するとともに、英文雑誌への投稿を行う。
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