2011 Fiscal Year Annual Research Report
職業性吸入インジウムの体内動態と多臓器障害に関する研究
Project/Area Number |
23390164
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 昭代 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (10136484)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 美由紀 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教 (30156674)
小椋 康光 昭和薬科大学, 薬学部, 教授 (40292677)
古閑 一憲 九州大学, 大学院・システム情報科学研究院, 准教授 (90315127)
米本 孝二 久留米大学, バイオ統計センター, 講師 (90398090)
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Keywords | 社会医学 / 産業衛生 / インジウム / 発がん性 / 間質性肺炎 |
Research Abstract |
【インジウム化合物の粒子径測定と溶解性試験】インジウム・スズ酸化物(indium-tin oxide : ITO)、インジウム・亜鉛酸化物(indium-zincoxide:IZO)や塗布型ITOナノインク各粒子の粒子径について走査型電子顕微鏡やBET法により測定した。その結果、ITO;0.6μM、IZO;0.9μm、ITOインク粒子0.03μmであった。また、各粒子を蒸留水中に40℃で放置し、3か月までの各懸濁液上清中のインジウム濃度をICP-MSを用いて測定した。その結果、懸濁液上清中インジウム濃度はITOナノインク粒子では約10mg/Lであったが、ITOおよびIZOでは100ng/mLであった。 【インジウム化合物の亜慢性毒性実験】ITO、IZO、ITOナノインク各粒子をラットの気管内に反復投与を行い、肺を中心とした生体影響について評価した。その結果、各インジウム群は対照群と同様の体重推移を示した。各時点の各インジウム群の相対肺重量は対照群と比べて有意に上昇した。血清インジウム濃度はITO群およびITOナノインク群では投与終了直後から12週まで経時的に増加した。IZO群では4週目まで増加したが、12週では減少した。肺インジウム量はITO群では0週から4週目までほとんど横ばいで推移し、12週目でわずかに減少した。ITOナノインク群、IZO群で0週から4週まで急激に減少したが、4週目かち12週目は徐々に減少した。肺の病理学的評価では、各インジウム群で肺の炎症性変化を主体とする病変が観察され、特にITOナノインク群で肺病変は強く発現した。同量のインジウム系粒子を投与したにもかかわらず、ITO群で肺障害が強く発現し、各インジウム粒子の体内の挙動が異なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度実施計画で提示した(1)インジウム化合物の粒子径測定、(2)溶解性試験、(3)インジウム化合物の亜慢性毒性実験を実施し、各実験において、(1)各インジウム粒子の粒子径が求められた。(2)各インジウム粒子懸濁液上清中の濃度が求められ、溶解度が推定された。(3)各インジウム化合物で肺障害が発現したが、肺障害の程度、肺からのインジウムのクリアランス、血清中インジウム濃度の推移が異なることが明らかになり、当初の研究目的を達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はITO、IZO、ITOナノインク粒子の肺障害と肺クリアランス、血清インジウム濃度を評価したが、今後は肺以外の臓器中のインジウム濃度、尿、糞中のインジウム濃度を求め、体内動態と体外排泄についての評価を行う。さらに、今年度評価を実施していない他のインジウム化合物の生体影響を実施し、インジウム化合物の化学形態別の健康影響について評価を行う。
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