2013 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス関連ホルモンと乳がん罹患・予後に関する分析疫学研究
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23390169
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
南 優子 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60239316)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 一郎 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20171994)
細川 徹 東北大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (60091740)
角川 陽一郎 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん薬物療法研究部, 特任研究員 (60221173)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 乳がん / ストレス / 副腎皮質ホルモン / エストロゲン / コホート / 心理テスト / パーソナリティー / 乳腺組織 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ストレス関連ホルモンである副腎皮質ホルモンに着目し、パーソナリティー・ストレスなどの心理的要因及び各種ホルモンと乳がん罹患・予後との関連を明らかにすることである。平成25年度は、以下(1)~(3)を実施した。(1)1990年に設定された宮城コホートを2007年まで追跡し、パーソナリティー尺度(EPQR)と乳がん罹患・予後との関連を明らかにした。各EPQR尺度と乳がん罹患リスクとの関連は認められなかったが、乳がん罹患(罹患者250名)後は、外向性尺度(extraversion)の点数が高い者ほど全死亡リスクが低くなる傾向(p=0.08)を認めた。(2)2001年-2004年に設定した乳がん患者コホート142名を2011年まで追跡し、術前血中ホルモン値と予後との関連を明らかにした。副腎皮質ホルモン値と予後との有意な関連は認められなかったが、ER+/PR+乳がんでは、血中Estradiol値が高い者ほど有意に全死亡リスクが上昇していた(p=0.005)。(3)前年度に引き続き、新規乳がん手術症例を対象に、生活習慣調査及び血中・乳腺組織中ホルモンの測定を進めた。さらに、術前・退院時・術後3か月時点に各種心理テストを実施した。2月末時点で、前年度までの46例と併せ65例のホルモン値のデータが得られ、このうちの49例で心理テストのデータが集積された。尚、研究者らが過去に収集したホルモン値のデータも併せると2月末までに129例のホルモン値が集積されている。今後、さらにデータ収集を進め、心理的要因・生活習慣と血中・組織中ホルモン値との関連を解析する予定である。 このほか、平成25年度は、生活習慣調査データを基に新規乳がん患者の栄養素摂取量を算出した。栄養素摂取はホルモン値に影響を与える可能性があり、今後の乳がん罹患・予後要因の各種解析では交絡要因として考慮する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
宮城コホートの追跡延長データが確定し、統計解析を実施した。現在、解析結果を公表すべく論文作成を進めている。乳がん患者コホート142名の追跡も順調に進んでいる。 新規対象者(乳がん罹患者)からの検体採取・3回の心理テストは、一人当たりのすべてのデータがそろうまでに約3か月という長い時間がかかるが、おおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実施計画に沿って地道にデータ収集を継続していくことが肝要である。また、次年度は最終年度となるため、得られた成果を順次論文にまとめていくことも重要であると考えている。 問題点は、①ホルモン測定費用の高騰や患者の負担が大きいこと等により、唾液中cortisolの日内変動測定を断念したこと、②研究実施施設では健常者の協力を得るのが困難であったことの2つである。これらの問題点により当初の計画すべてを実行するのは困難な状況であるが、その場合でも研究の目的は充分達成できると考えている。
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Research Products
(6 results)