2011 Fiscal Year Annual Research Report
酸化LDLコレステロールと潜在性動脈硬化症、生活機能の関連についての地域疫学研究
Project/Area Number |
23390178
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Field |
Public health/Health science
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
岡村 智教 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00324567)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西脇 祐司 東邦大学, 医学部, 教授 (40237764)
宮本 恵宏 国立循環器病研究センター, 予防健診部, 部長 (10312224)
東山 綾 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (20533003)
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Keywords | 疫学調査 / 血中可溶型LOX-1 / ApoB含有LOX-1リガンド / 動脈硬化 / 頸動脈内膜中膜複合体 / 生活習慣 |
Research Abstract |
Lectin-like oxidized LDL Receptor(LOX-1)は、内皮細胞における酸化LDLなどの変性LDLの受容体として知られており、変性LDLによる血管内皮機能障害、催動脈硬化作用はLOX-1を介している。そこで血中可溶型LOX-1(sLOX-1)と共にApoB含有LOX-1リガンド(LAB)を測定することによって潜在的な動脈硬化所見や動脈硬化の進展可能性を評価できるという仮説をたてた。今年度はまずsLOX-1およびLABの測定系を構築してこれらを大量測定することが可能な体制を整備した。次に滋賀県草津市と米国ピッツバーグ市近郊の40歳代男性地域住民(日本人310人、米国人297人)のsLOX-1とLABを測定し、頸動脈内膜中膜複合体(IMT)との関連を検討した。血清sLOX-1の中央値は、米国人集団で520ng/L、日本人集団で328ng/L、LABの中央値は1321μg/Lと940μg/Lであり、それぞれ米国のほうが有意に高かった。LABとIMTの関連を重回帰分析(ステップワイズ法)で検討すると、米国集団ではLDLコレステロール(LDLC)を調整しても有意な正の関連を認め、LABの標準化回帰係数はLDLCよりも大きかった。一方、日本人集団ではLABとIMTに有意な関連を認めず、LABとIMTの関連に閾値のようなものが存在する可能性が示唆された。また先端医療振興財団先端医療センター疫学研究チーム(神戸市)で推進しているコホート研究「神戸トライアル」において、40~74歳の神戸市民男女約600人のsLOX-1とLABを測定した。次年度以降、さらに例数を増やしてsLOX-1およびLABと脈波(Cardic Ankle Vascular Index)や血中N-3系脂肪酸、喫煙との関連を明らかにしていく予定であり、これにより酸化LDL系に影響を与える生活習慣について明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では幾つかの集団でsLOX-1とLABを測定し、様々なアウトカムとの関連を検討することになっている。まず日米集団でのIMTとの関連について検討を行い、神戸市民の集団でも測定を実施した。引き続き群馬県や山形県の対象者での測定準備を進めており、日常生活動作や認知能との関連も検証できる準備が整った。これは当初計画通りの進捗状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画通り、日米比較と潜在性動脈硬化(IMTなど)との関連、神戸市民での脈波や生活習慣との関連、群馬県高崎市倉渕地区での日常生活動作や認知能との関連、山形県鶴岡市での代謝指標との関連、滋賀県草津市集団での高齢者の潜在性動脈硬化との関連、という複数の集団、複数のアウトカムを設定し、研究を進めていく。共同研究も円滑に進んでおり、現状では特記すべき問題点はない。
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Research Products
(3 results)