2011 Fiscal Year Annual Research Report
大規模無作為標本15年追跡によるWHO骨折リスク評価モデル日本人版の開発
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23390180
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
玉置 淳子 近畿大学, 医学部, 准教授 (90326356)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊木 雅之 近畿大学, 医学部, 教授 (50184388)
佐藤 裕保 仁愛大学, 人間生活学部, 准教授 (10337115)
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Keywords | 骨折 / 骨粗鬆症 / リスク評価 / 無作為標本 / 前向きコホート研究 / 地域保健 |
Research Abstract |
JPOSコホート研究の満15年追跡調査を、香川県S市、北海道M町、新潟県J市の3地域で平成8年度の初回調査を受診し、調査時現在同地域に在住する1422人を対象として実施し、全体で996人が受診した(追跡率70.0%)。WH0骨折評価モデル(FRAX)の対象年齢であるベースライン時40歳以上の997人については、690人が受診し追跡率69.2%を得た。 主要な結果指標である症候的骨折の発生状況については、研究実施計画に従い、対象者の面接調査時に把握した。3地域を併せ、ベースライン時調査以降に症候的骨折を186人にみとめた。このうち骨粗鬆症性と考えられる骨折は128人に175件発生していた。また、椎体骨折診断のための胸腰椎デジタル画像を、15年次調査時50歳以上の808名について撮影した。 副次的結果指標として、ベースライン時調査から15年次調査までの腰椎、大腿骨近位部の骨密度変化率を求めた。ベースライン時の年齢階級別にみると腰椎骨密度の最大の低下が40歳代でみとめられ、閉経後の骨量減少対策とそれによる骨折予防の重要性がこの結果をもってしても示された。また、15年次調査の未受診者を対象に、症候的骨折の発生状況の過小評価を避けるため、死亡者、施設入所者なども対象に含め、骨折発生の把握を目的とし、調査票を全体で389名(さぬき市157人、芽室町115人、上越市117人)について郵送し、その後の電話による聞き取り調査結果を併せ、318名について回答を得た(92.4%、1315人/1422人)。ベースライン時40歳以上についてみると248名から回答が得られ、この回答結果を併せると3地域全体で94.1%(938人/997人)について症候的骨折の発生状況を把握できることとなった。 今回、無作為標本抽出した対象者について15年次調査を実施し70%の追跡率を得、未受診者の調査結果を含めると、90%強について症候的骨折の発生状況を把握できることとなった。今後、未受診者の症候的骨折の発生状況を把握し、骨粗鬆症性骨折の中で最頻の椎体骨折発生の診断を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
15年次調査を、ベースライン調査の対象であった3地域の1422人について実施し、996人が受診し70.0%の追跡率を得た。平成24年度に予定していた15年次調査未受診者への症候的骨折の補完調査は、既に実施済みである。しかし、当初計画時に調査対象としていた福島県N町については東日本大震災の影響で初年度の調査実施が困難となったため、平成24年度に実施することとなった。よって、現在までの達成度はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、対象のN町での15年次調調査を10月4日~18日の期間に実施する予定で既にN町との調整は進んでいる。平成24年度にN町での調査終了後、未受診者への症候的骨折の補完調査を当初の計画通り実施する。また、椎体骨折発生の診断を平成23年度に追跡調査を実施した3市町については完了させる。平成25年度には椎体骨折リスク評価モデルと日本人のための改訂版WHO骨折リスク評価モデルの構築を試みる。
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