2012 Fiscal Year Annual Research Report
打撲傷による皮下出血を可視化することにより身体的虐待を証明する試み
Project/Area Number |
23390182
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
美作 宗太郎 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50284998)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 真紀 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30292379)
大島 徹 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70464427)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 陳旧打撲傷 / 紫外線撮影 |
Research Abstract |
本研究は,打撲傷の客観的評価に関する臨床法医学的研究を更に発展させて,被虐待児に対する損傷検査の精度を上げることを目的とするものである. まず,CTスキャナ,Mini OCT System,超音波診断装置などによる打撲傷の断層撮影の研究は,それぞれの機器の特性を生かし,打撲傷の性状によって検査方法を変えて研究を進めている. 紫外線を用いた陳旧打撲傷の可視化についての研究については,本年度に大きな進歩があった.即ち,従来から欧米の文献などにみられる紫外線波長の光線を用いて研究を重ねてきたが,今回から紫外線波長のみならず紫外線波長に近い数種類の特殊波長の光線を加えて研究を行った.結果的に,陳旧打撲傷の観察に適切な特殊波長の光線とフィルターの組み合わせが判明し,受傷後2~3カ月の陳旧打撲傷の可視化に成功した.また,陳旧打撲傷を証拠化するための特殊波長の光線による撮影にも辛うじて成功し,現在継続して撮影を続けている. 特殊波長の光線による陳旧打撲傷の可視化・証拠化の研究は,一つの打撲傷について受傷後に長期間にわたり経時的に観察していく必要がある.時間と手間がかかる研究ではあるが,実務応用できれば被虐待児の損傷検査に大きく貢献する可能性を秘めた重要なツールになることから,出来る限り時間をかけて研究を継続している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
症例数が少ないため「やや遅れている」を選択したが,研究の目的を達成する成果は着実に上がっていると考えている.特に陳旧打撲傷の可視化・証拠化の研究は,従来から工夫を重ねてきた成果が得られ,実務応用に向けた準備が必要である.
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Strategy for Future Research Activity |
CTスキャナ,Mini OCT System,超音波診断装置などによる打撲傷の断層撮影の研究は,症例数を増やして,様々な打撲傷で観察していく予定である.小児の症例は,予想通りそう多くはないことから,年齢幅を拡げて研究を進めることも検討している. 陳旧打撲傷の可視化・証拠化の研究は,時間と手間のかかる研究であるが,陳旧損傷を証明することは継続的な身体的虐待行為の証明には不可欠であり,今後は瘢痕などについても応用範囲を拡げる予定である. なお,陳旧打撲傷の可視化に適切な特殊光線の波長が判明したが,陳旧打撲傷の可視化の原理については未だ十分に解明されていない部分が多い.この点については,今後の実務応用に向けてエビデンスを明らかにしておく必要があるだろう.
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Research Products
(7 results)