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2012 Fiscal Year Annual Research Report

法数学推計と実践的分析による限界的な微量混合試料における関与者同定法の確立

Research Project

Project/Area Number 23390184
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

玉木 敬二  京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90217175)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 鶴山 竜昭  京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00303842)
Project Period (FY) 2011-04-01 – 2014-03-31
KeywordsDNA多型医学 / 混合試料 / STR / 血縁者
Research Abstract

混合試料では、1ローカスあたりの検出アリル数が1人分のDNA試料と比較して多いため、混合試料の非関与者が関与者と判断されてしまう危険性が生じる。特に、関与者の血縁者である場合には関与者と類似した遺伝子型を有するため、その危険性は増大する。そこで、他人や血縁者で作成された混合試料において、その関与者の血縁者のアリルが全て検出されて、“関与者”とされてしまうような場合の発生率をソフトウェアRによってシミュレーションし、関与者の血縁者が混合試料分析に与える影響を検討した。
その結果、全ての家系において非血縁者を関与者の候補から排除でき、第三度血縁では1例も生じず、第二度血縁でも10万例中3例にとどまった。よって、関与者との血縁関係が第二度血縁よりも薄い混合試料の非関与者が関与者と判断される可能性はまずないといえる。ところが、第一度血縁の非関与者では、関与者と判断してしまう場合が0.02%、同胞では約0.1%認められた。
また、混合試料において問題となる関与者以外の関与者の型が既知の場合は、未知の場合と比較すると、混合試料の非関与者が排除できるローカス数は増加する。同胞2人の混合試料では他の関与者の型が未知の場合、親である非関与者では約0.7%、同胞であれば約1.2%が関与者と判断されてしまうことがわかった。関与者が既知の場合は、未知の場合と比較すると、非関与者を関与者と判断してしまう場合は、同胞や親の場合にはそれぞれ9例認められたが、第二度血縁、第三度血縁、非血縁の場合では全く認められず、全ての非関与者は排除された。
今回の検討により、被害者の型など一方の型が判明していれば、真の関与者の血縁者である非関与者が関与者として判断される可能性は低いが、関与者の型が分かっていない場合には同胞や親、子などの第一度血縁の非関与者が関与者とされてしまう危険性があることが示された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

これまでの混合試料におけるアリルピーク高の定量的解析と定性的解析の比較において、アイデンティファイラー検査においては、定性的分析法でも予想以上に高い尤度比が得られることがわかった。したがって、定量法を扱う研究計画を変更したが、新たに実務において混合試料の関与者の血縁者が関与者として疑われる場合に、どれほど正確に判断できるかという問題が発生した。このため、その検討を早急におこない、その成果を学会で発表し、論文作成をおこなった。当初の計画にはない研究テーマが増えたため、研究の進捗状況はやや遅れたが、混合試料の関与人数推定法の確立を目指す本研究において極めて重要な検討であり、これまでの検討結果も、仮想の非血縁者集団ではなく、より実際例に近づけた汎用性のあるものになった。

Strategy for Future Research Activity

今年度の研究では、わが国のDNA鑑定における混合微量資料分析の導入を阻んでいるStochastic effect (SE)の実態について、アイデンティファイラー検査を用いて調査する。具体的には検出感度やアリルドロップアウトの発生確率などの値の決定を行う。また、これらの値をソフトウェアに代入して、実務応用に向けた検証をおこなう。
まず、正確に濃度が測定された変性のない1人分のヒトDNA試料10検体を用いて、希釈系列を作製し、アイデンティファイラー検査の標準プロトコールでピークを検出する。各濃度における検出されたピークについて、アリルインバランスの程度や、ドロップアウトしたアリルの割合を濃度毎に算出する。さらに、サイクル数を31、または34に上げた際のピーク値についても同様の検討をする。これにより、アリルドロップアウトの確率P(D)の実測値が把握できる。また、DNAを入れない試料、100pgいれた試料について、アリルドロップインの検出を試み、検出されれば、その出現頻度を算出する。
また、混合試料におけるminor contributor (MC)のDNAが少ない場合、スタターピークとの区別が重要となる。スタターピークとはPCR副産物で、通常、真のアリルの1リピート前に現れ、真のピーク高の15%未満であるが、10例、15ローカスにおいて100pgのDNA、34サイクルにおけるスタターピークの割合を測定して検証する。
さらに、昨年、考案された混合試料分析ソフトウェア(LRmix、LikeLTD)について前記の実験で得られたアリルドロップアウトの確率の値を入れて、LRの値を算出し、これらのソフトウェアの結果が真の関与者の型を示したかどうか検証する。また、アリルドロップインの確率の実際の値との乖離や、スタターピークを実際のピークと誤判定した場合のLRの影響などについて検討する。

  • Research Products

    (5 results)

All 2013 2012

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (3 results)

  • [Journal Article] Mixture interpretation: Experimental and simulated reevaluation of qualitative analysis.2013

    • Author(s)
      Manabe S et al.
    • Journal Title

      Leg Med

      Volume: 15 Pages: 66-71.

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Identifiler Kitを用いたDNA鑑定におけるアリルピークの不安定性2012

    • Author(s)
      真鍋翔 ら
    • Journal Title

      DNA多型

      Volume: 20 Pages: 178-82

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 混合試料における関与者に血縁者を想定する必要性について2012

    • Author(s)
      真鍋翔 ら
    • Organizer
      日本DNA多型学会第21回学術集会
    • Place of Presentation
      京都
    • Year and Date
      20121107-20121109
  • [Presentation] 父母由来を区別した真の突然変異率の推定2012

    • Author(s)
      真鍋翔 ら
    • Organizer
      日本DNA多型学会第21回学術集会
    • Place of Presentation
      京都
    • Year and Date
      20121107-20121109
  • [Presentation] 常染色体37STRローカスにおける日本人アレル頻度2012

    • Author(s)
      尾関宗孝 ら
    • Organizer
      日本DNA多型学会第21回学術集会
    • Place of Presentation
      京都
    • Year and Date
      20121107-20121109

URL: 

Published: 2014-07-24  

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