2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23390189
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Field |
General internal medicine (including Psychosomatic medicine)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岡 孝和 九州大学, 医学研究院, 准教授 (60291514)
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Keywords | 心因性発熱 / 慢性疲労症候群 / 不明熱 |
Research Abstract |
平成23年度は、ラットを用いて、(1)繰り返しストレスによって慢性高体温が生じるか、(2)フルボキサミンの連続投与によって、繰り返しストレスによる慢性高体温が抑制されるか、検討した。 具体的には、体温測定用発信器を体内に埋め込んだ雄ウイスターラット(200-250g)を、400-500gの雄ロングエバンスラットのケージに午前10:30から1時間(ロングエバンスラットから攻撃を受けたら、ついたてで仕切る)入れ、その後、ホームケージに戻すという社会的敗北ストレスをウイスターラットに加えた。このようなストレス負荷を6日連続して行い、1日休む、を4回繰り返し、その間の体温を連続測定した。第3週目から第4週目の14日間は、連日、午前9:30にフルボキサミン(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)10mg/kg、もしくは生理食塩水を腹腔内投与した。(1)はじめて社会的敗北ストレスに暴露されたラットは、午前11時から午後1時にかけて、コントロールラットより高い体温を示した。体温上昇は11:30頃に最も顕著で、コントロールラットより約2℃体温が上昇した。社会的敗北ストレスの負荷を繰り返してゆくと、ストレス群の第21日目、第28日目(ストレスの負荷されていない日)の体温は、午前10:00-12:00の時間帯でコントロール群より有意に高い(約0.5℃)値を示した。(2)第21日目、第28日目の11時前後の体温を比較すると、生理食塩水を投与してストレスを負荷しなかった群では、午前9時の体温と変わりなかったが、生理食塩水を投与したストレス群では午前9時に比べ0.5℃上昇した。フルボキサミン投与したストレス群では、体温上昇の程度は軽度であった。 このことから繰り返しストレスによって生じるストレス性高体温に対して、フルボキサミンの連続投与は有望な薬物療法と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
以前、われわれはラットに社会的敗北ストレスを繰り返し加えると、ストレス暴露終了後もしばらく高体温状態が続くことを発表した(Hayashida S et al.Physiol Behav 101,124,2010.)。このときのストレス負荷のプロトコールは、社会的敗北ストレスを7日間繰り返し、1日休むと言うことを4回繰り返すというものであった。今回は、繰り返し社会的敗北ストレスに加えて、連日の注射ストレスが加わるため、これまでと同じストレスではない。そのため実験結果の再現性を確認する必要があった。
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Strategy for Future Research Activity |
フルボキサミンの連続投与によって、高体温だけでなく、抑うつ、不安などの行動的変化も改善するか検討する。フルボキサミン以外の薬剤、抗不安薬、抗炎症薬、フルボキサミンの単回投与、他の抗うつ薬の効果を順次、検討する。
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Research Products
(9 results)