2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23390189
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岡 孝和 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60291514)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 心因性発熱 / ストレス性高体温症 / 慢性疲労症候群 / 不明熱 / 心身症 |
Research Abstract |
平成24年度は、ラットを用いて(1)繰り返しストレスが体温、活動量、体重にどのような影響を及ぼすか、(2)これらのストレス性変化がフルボキサミン(FLV, 選択的セロトニン再取り込み阻害薬)の連続投与によって改善するか検討した。 具体的には、体温測定用の発信器を体内に埋め込んだ雄ウイスターラット(200-250g)を、400-500gの雄ロングエバンスラットのケージに午前10:30から1時間(ロングエバンスラットから攻撃を受けたら、ついたてで仕切る)入れ、その後、ホームケージに戻すという社会的敗北ストレス、もしくは自分のケージに再度入れるというシャムストレスをウイスターラットに加えた。このようなストレス負荷を6日連続して行い、1日休むということを4回繰り返し、その間の体温と活動量を連続的に、また体重を毎週測定した。第3週目から第4週目の14日間は、連日、午前9:30にFLV 10mg/kg、もしくは生理食塩水(生食)を腹腔内投与し、(1)生食/ストレス群、(2)FLV/ストレス群、(3) 生食/シャムストレス群、(2)FLV/シャムストレス群の4群間で、体温、活動量、体重を比較した。第21日目、第28日目(ストレスの負荷されていない日)の午前10:00-12:00の生食/ストレス群の体温は、生食/シャムストレス群、FLV/シャムストレス群および、FLV/ストレス群より高かった。この間の活動量は4群間で差はなかった。28日間の生食/シャムストレス群の体重増加量に比べて生食/ストレス群の増加量は有意に低く、FLV/ストレス群ではその中間であった。 このことから繰り返しストレスによって生じるストレス性高体温と体重減少に対して、FLV連続投与は改善作用を持つことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
繰り返しストレスによって生じるストレス性高体温と体重減少に対して、フルボキサミン(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)の連続投与が改善作用を持つことが明らかになりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、繰り返しストレスの疼痛閾値、不安、抑うつ関連行動に及ぼす影響と、FLVの効果についても検討する。今回は言及しなかったが、急性ストレス性体温上昇時に活性化する脳内部位とリポポリサッカリドによる発熱時に活性化する脳内部位の共通点と相違点に関する研究についても現在、進行中である。これらと慢性ストレス性体温上昇時、FLV投与時に活性化する脳内部位を比較することで、慢性ストレス性高体温と、FLVの奏効機序に関しても検討をすすめたい。
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