2011 Fiscal Year Annual Research Report
αディフェンシンによる腸内細菌の統御機構からみた炎症性腸疾患の病因解明と新規治療
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23390193
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
綾部 時芳 北海道大学, 大学院・先端生命科学研究院, 教授 (90301019)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 公則 北海道大学, 大学院・先端生命科学研究院, 助教 (80381276)
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Keywords | 自然免疫 / 抗菌ペプチド / αデイフェンシン / クローン病 / 腸内細菌 |
Research Abstract |
本研究は、腸における排除と共生メカニズムを炎症性腸疾患の理解に重要な鍵を握るPaneth細胞が分泌するαディフェンシンの作用から解析し、炎症性腸疾患の病因・病態解明および新たな治療法を提案することを目的としている。本年度は、抗αディフェンシン抗体を用いてcryptdinのサンドイッチELISA法を構築して、マウス糞便中に分泌されたcryptdinを定量できることを確認した。正常ICRマウス、クローン病モデルSAMP1/YitマウスおよびIL10欠損マウスのPaneth細胞が分泌したcryptdin量を比較して、腸炎発症時のαディフェンシン異常について検討した。また、defensin-sensitive Salmonellaを用いて殺菌活性解析を行って、αディフェンシンの構造活性相関を検討した。さらに、小腸粘膜材料からわれわれの既報の方法(Ayabe T et al., Nature Immunol 2000)でPaneth細胞分泌物を得て、それらの殺菌活性を評価し、ELISAでの定量と比較して解析した。腸内細菌のメタゲノム解析を次世代シーケンサーを用いて腸炎モデルマウスと正常マウスの糞便から、腸内細菌の16s rRNA相同性によるプロファイル解析を行った。これらの検討により、in vivoでのαディフェンシンと腸内細菌叢が深く関連していることが示された。本研究で炎症性腸疾患におけるαディフェンシン定量と腸内細菌メタゲノム解析を組み合わせた評価を行うことによって、炎症性腸疾患の病因・病態の解析が進展することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的及び計画に従って、研究代表者と分担研究者が密に連携しながら研究遂行に注力し、当初予定していた研究計画の内容を完遂して本研究目的の達成に向けて重要な成果を上げた。よって、本研究は順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、腸内細菌との結合によるαデイフェンシンの構造と機能の変化をモノクローナル抗体を用いて生化学的および免疫学的に解析するなど、当初計画に沿って予定通り研究を推進していく。
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Research Products
(6 results)