2012 Fiscal Year Annual Research Report
性差とミトコンドリアbiogenesisからみた肝発癌機構の解析
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23390201
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
日野 啓輔 川崎医科大学, 医学部, 教授 (80228741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 正徳 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (30315767)
岸 文雄 川崎医科大学, 医学部, 教授 (40153077)
仁科 惣治 川崎医科大学, 医学部, 助教 (70550961)
原 裕一 川崎医科大学, 医学部, 講師 (60550952)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / mitophagy / Parkin / 活性酸素種 / C型肝炎ウイルス |
Research Abstract |
C型肝炎の肝発癌機構にミトコンドリア障害とそれに伴う酸化ストレスが重要な役割を果たすことはよく知られている。一方、ミトコンドリアは電子伝達系の酸化的リン酸化に伴う必然的な活性酸素種(ROS)産生のため、細胞内のレドックス制御の観点からSODなどの抗酸化機構が発達している。さらには障害ミトコンドリアによる更なる酸化ストレスを抑制するためミトコンドリアの選択的autophagy (mitophagy)機構が存在する。そこで、C型肝炎ウイルス(HCV)がmitophagyを抑制し、ミトコンドリアの品質管理も阻害することで酸化ストレスの持続と増幅を引き起こしているのではないかという仮説のもとに、HCV感染細胞ならびにHCVトランスジェニックマウス、HCV感染キメラマウスを使ってHCVがmitophagyに及ぼす影響について検討した。HCVタンパクのなかでコア蛋白のみがmitophagyの実行分子であり、E3 ubiquitin ligaseであるParkinと結合することでmitophagyを抑制することが明らかとなった。さらに、yeast two hybrid assayの結果からコア蛋白はParkinのN端側215アミノ酸領域と結合することが示された。一方、アミノ酸枯渇というmacroautophagy(一般的にautophagy)誘導条件ではHCVはautophagyをむしろ促進し、従来のHCVがautophagyを促進するという従来の報告と一致していた。さらに興味深いことにsiRNAでParkinの発現をknock outするとHCV増殖が抑制されたことから、HCVコア蛋白とParkinの結合はHCV増殖に何らかの役割を果たしていると考えられた。以上の成績は、C型肝炎の肝発癌機構における酸化ストレスの持続を説明しうる重要な病態と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
卵巣摘出HCVトランスジェニックマウスにおけるミトコンドリア障害の研究はほぼ順調に進んでいるが、HCVによる抗酸化機構の障害機序のより詳細な検討が必要と考えている。一方で、HCVによるミトコンドリア品質機構の障害、すなわちmitophagyの抑制機序については当初の予想以上に研究成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
ミトコンドリア品質管理の障害、すなわちmitophagyの抑制とミトコンドリアのbiogenesisは完全に独立して制御されているのか、あるいは共通のシグナルが存在し、mitophagyの抑制はミトコンドリアbiogenesisの抑制に繋がるか否かについて明らかにしていきたいと考えている。
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