2011 Fiscal Year Annual Research Report
カルシウムチャネル細胞内サブユニットの機能制御による新規心不全治療開発基盤の確立
Project/Area Number |
23390212
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中山 博之 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (40581062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤尾 慈 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (20359839)
朝日 通雄 大阪医科大学, 医学部, 教授 (10397614)
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Keywords | カルシウムチャネル / 心不全 / プロテインキナーゼA / カルモデュリン依存性キナーゼ / 細胞死 |
Research Abstract |
慢性心不全は5年生存率約50%の予後不良な疾患であり予後改善のため新規治療薬が望まれるが、治療標的分子が不明なためその開発は停滞している。慢性心不全患者において血中カテコラミンの上昇と、L型カルシウムチャネル(LTCC)の細胞内サブユニットであるbeta2a subunit(LTCC beta2a)の発現上昇が認められる。申請者はLTCC beta2aの心筋過剰発現マウスにおいて持続カテコラミン受容体刺激によりマウスの個体死が起こり、LTCC beta2aが心不全の予後改善のための治療標的として極めて重要である事を見出した。しかしながらカテコラミン刺激によるLTCC beta2aの機能修飾と病態との関連は尚不明である。LTCC beta2aは、カテコラミン受容体刺激により活性化するプロテインキナーゼA(PKA)やカルモデュリン依存性キナーゼ(CaMKII)のリン酸化により、LTCCのCa2+流入を増大させる。本研究においてLTCC beta2aのリン酸化の意義を解明するために、CaMKII過剰発現マウス、非リン酸化変異体LTCC beta2a 過剰発現マウス及びLTCC beta2aの非リン酸化変異ノックインマウスの作製により検討した。CaMKII過剰発現マウスは3ライン確立し蛋白質発現を確認し、最も発現量の多いラインを使用する事とした。非リン酸化変異体LTCC beta2a 過剰発現マウスは2ライン確立し、ウェスタンブロットにより蛋白質発現を確認した。LTCC beta2aの非リン酸化変異ノックインマウスはターゲッティングベクターに不備があり再度ベクターを作製した。一方、LTCC beta2aのリン酸化の同定のためのPKAリン酸化部位(S478, 抗pS478抗体)及びCaMKリン酸化部位(T498, 抗pT498抗体)の各々に対するリン酸化抗体を作成し有用性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
作製した3種類の遺伝子改変マウスモデルのうち2種類に関しては順調に進展していると考えられる。非リン酸化変異ノックインマウスはターゲッティングベクターに不備があり再構築したため一部繰り越し申請をしたが、総合的おおむね順調に進展していると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
作成した非リン酸化変異体LTCC beta2a 過剰発現マウスと以前に報告した野生型LTCC beta2a 過剰発現マウスを用いてその表現型を心臓超音波、テレメトリーを用いた生理学的解析、電気生理学的解析、病理組織学的解析及び生化学的解析により同定し、野生型LTCC beta2a過剰発現マウスと比較する事により生理条件下におけるLTCC beta2a役割を同定する。また、Cre-loxP システムを用いて成体期において特異的にCaMKIIを過剰発現するモデルを作製し、その表現型を解析するとともに両LTCCbeta2a過剰発現マウスとの交配を進める。
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Research Products
(2 results)