2012 Fiscal Year Annual Research Report
新規遺伝子改変マウスを用いた転写因子MafBの気腫化肺形成に関わる機序の探究
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23390220
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
柴田 陽光 山形大学, 医学部, 講師 (60333978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒谷 玲子 山形大学, 理工学研究科, 助教 (00453043)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 喫煙 / COPD / マクロファージ / 転写因子 / MafB |
Research Abstract |
作成されたMafB遺伝子改変マウスとコントロールマウスより、気管支肺胞洗浄で肺胞マクロファージを回収し、オプソニン化マイクロビーズに対する貪食能をFACSにて比較定量的した。その結果、遺伝子改変マウスでは貪食能が有意に低下していることが証明された。よってMafBはマクロファージの貪食能に寄与することが理解された。その機序として、貪食時に重要な役割を演じることが報告されているRhoA活性を計測したところ、本遺伝子改変マウスにて、有意な活性の低下が観察された。すなわち、MafBはRhoAの活性を変化させることで、マクロファージの貪食を調節していることが考えられた。 電子顕微鏡的観察にて、コントロールマウスの肺胞マクロファージが細胞表面上に棒状の偽足を多数有しているのに対して、本マウスの偽足は膜状に形態が変化していることが観察された。よってMafBはマクロファージの細胞形態を制御することが理解された。本所見から本マウスのマクロファージにいては、細胞骨格が大きく変化している可能性が示唆された。ファロイジンにて重合アクチンを蛍光染色したところ、遺伝子改変マウスでは偽足内で重合したアクチンが減少していることが観察された。よってMafBはマクロファージの細胞骨格の制御に関与することが理解された。 本遺伝子改変マウスを用いたエラスターゼ気管内投与肺気腫モデルにて、肺気腫形成の差をコントロールマウスと比較したところ、有意に肺気腫形成が抑制されていた。すなわち、MafBは肺気腫形成に重要な役割を演じている可能性が高いと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究にて、MafB遺伝子改変マウスのマクロファージでは①アポトーシスの亢進、②貪食能の低下、③細胞骨格の変化が生じていることが理解された。さらに、エラスターゼ気管内投与肺気腫モデルにて、本遺伝子改変マウスにてコントロールに比して気腫化の発展が減弱していることから、MafBに肺気腫形成過程に何らかの役割を演じている可能性が示された。
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Strategy for Future Research Activity |
エラスターゼ気管内投与肺気腫モデルにて、本遺伝子改変マウスではなぜ肺気腫の形成が弱いのか原因を精査する。そのために、エラスターゼ気管内投与後にコントロールマウスに比して、どのような遺伝子発現が変化しているのかを、ウェスタンブロッティング、ELISA、real-time PCRなどで検討する。 さらに、本遺伝子改変マウスとコントロールマウスに喫煙負荷をかけて、肺気腫形成に差が生じるかどうかも検討する予定である。
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