2012 Fiscal Year Annual Research Report
腎症状を呈する新規ファブリー病モデルマウスの病態の解析と応用
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23390223
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
丸山 弘樹 新潟大学, 医歯(薬)学総合研究科, 特任教授 (10293218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 達 大分大学, 医学部, 研究員 (00222935)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | lamellar body / Gb3 / オートファジー不全 / p62 / 多尿 / 尿細管障害 / 骨粗鬆症 / 心不全 |
Research Abstract |
1)腎障害が発症して進行する過程の研究 ① 腎組織の解析:20週齢を対象とした光顕で髄質集合管・遠位尿細管障害、電顕で髄質集合管・遠位尿細管、近位尿細管の上皮細胞にlamellar body を含む多数のvacuoleとミトコンドリア異常を認めた。これらは、本症の発症に深く関わっている可能性を強く疑わせる所見である。免疫染色ではp62が髄質集合管・遠位尿細管、近位尿細管の上皮細胞に認められた。これらは、オートファジー不全の関与を示すものであった。② 腎機能、尿異常の解析:多尿、低浸透圧尿であった。尿蛋白として、アルブミン、β2-ミクログロブリンが認められた。腎組織では糸球体障害が認められないことから、近位尿細管障害による蛋白尿と考えられる。real-time PCRで線維化に関わる遺伝子の発現増加を認めた。濃縮力障害に関わる遺伝子群の関与を検討してきたが、見い出せていない。 2)その他の重要な標的臓器と早期老化症候群の解析 ① 骨の解析:大腿骨遠位部のCTでは、20週齢で海綿骨骨量と全骨骨量が低値を示し、30週齢でさらに皮質骨骨量も低値を示し、骨粗鬆症を認めた。20週齢の大腿骨遠位部の骨形態計測では、骨吸収の亢進、類骨形成の亢進、骨量の低下が認められた。骨の石灰化障害は認められなかった。類骨の増加、類骨成熟時間の増加を伴う骨粗鬆症と診断された。② 心の解析:心カテーテル検査、心エコーで、20週齢でファブリー病の早期心障害である拡張障害を認めた。さらに、30週齢では、収縮障害も認めた。心肥大は認められなかった。ドブタミン負荷試験で、β刺激に対する反応の低下を認めた。これは新たな知見であった。心不全に関わる遺伝子群の関与をreal-time PCRで検討してきたが、炎症性サイトカイン、線維化に関わる因子の関与は認められなかった。神経性因子の関与について検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
腎臓の解析、骨と心臓の解析が計画通りに進展しているので、全体としては、順調に進展していると判断している。多尿、尿浸透圧の低下を治療効果を判定する指標として使えるか検討する段階に来ている。 現在、これまでの解析結果をまとめた原稿を投稿し、追加実験をしている。
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Strategy for Future Research Activity |
酵素補充療法(シャペロン療法の併用)による尿細管障害の治療効果の解析 以上、このマウスの表現型の解析から、治療効果の判定に使用可能な指標として、尿浸透圧低下、多尿が明らかになった。酵素補充(3mg/kg)を4週間ごとに行って、上記の指標の変化を調べる。酵素補充治療にシャペロン治療を併用することで、投与する酵素量を減らせることが期待される。これにより、酵素に対する抗体産生を低減させる可能性がある。酵素補充(1mg/kg)と1−デオキシ−ガラクトノジリマイシン(150mg/kg)併用し、酵素補充(3mg/kg)群との治療効果を比較する。
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Research Products
(2 results)