2012 Fiscal Year Annual Research Report
タウオパチーの早期診断と発症機構制御を可能にするリガンドの創出
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23390235
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
樋口 真人 独立行政法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, チームリーダー (10373359)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 神経科学 / 生体分子 / 認知症 / 脳疾患研究 / 薬学 |
Research Abstract |
1) アミロイド病変リガンドの開発: 線維原性タンパクで神経毒性を発揮すると考えられているタウタンパクについて、生体脳におけるタウ病変を可視化するイメージング薬剤の開発に取り組んだ。その結果、タウトランスジェニックマウスのタウ病変を生体蛍光イメージングおよびポジトロン断層撮影(PET)で検出する薬剤を得ることができた。さらにこの薬剤を用いて、ヒトを対象とする探索臨床PET研究を実施し、アルツハイマー病患者で海馬をはじめとしてタウ病変が高密度で蓄積する領域に一致した画像を得ることに成功した。これにより、世界に先駆けてモデル動物からヒトまで一貫してタウ病変のイメージングが実現することとなった。 2) グリア細胞受容体リガンドの開発: グリア細胞活性化のマーカーであるトランスロケータータンパク(TSPO)に結合するイメージング薬剤を複数準備して、アストロサイトでTSPOが増加するアミロイド前駆体タンパクトランスジェニックマウスと、ミクログリアでTSPOが増加するタウトランスジェニックマウスのPETイメージングを実施した。その結果、アストロサイトにおけるTSPO増加をより高いコントラストで捉えられる薬剤と、ミクログリアにおけるTSPO増加をより高いコントラストで捉えられる薬剤が存在することが明らかになった。従って、化合物を改良することにより、目的のグリア細胞サブタイプの活性化を高コントラストで検出できると考えられた。 3) グルタミン酸シクラーゼ(QC)リガンド開発: アミロイドや炎症性ケモカインの安定化に関わる酵素であるQCを生体で可視化するために、QCに結合するPET薬剤を作製し、マウスに投与してPETスキャンを実施した。特異結合に相当するシグナルを得られたことより、QCイメージングが可能であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ヒトのタウ病変PETイメージングでは、イメージング薬剤のタウ病変への選択性が、予想していた以上に高いことが示された。ヒト脳切片を用いた結合試験の結果から、薬剤の濃度が低いほどタウ病変への選択性が高くなることが明らかとなり、生体PETイメージングでは、薬剤濃度がインビトロのオートラジオグラフィーや蛍光染色よりも低くなったことにより選択性が高まったと考えられた。従って、当初の計画よりも進んだ形でタウ病変を特異的に検出する薬剤を得ることができた。選択性をさらに高める方法についても見通しが明らかになったことより、研究の進展は早まった。
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Strategy for Future Research Activity |
1) アミロイド病変リガンドの開発: 有用性の高いタウ病変イメージング薬剤の開発に成功したことから、今後はタウ病変PETイメージングと実験的治療に注力し、病変への選択性がさらに高い薬剤の開発を進める。また、新たな系統のタウトランスジェニックマウスを導入し、薬剤開発における有用性をこれまで用いてきた系統と比較する。 2) グリア細胞受容体リガンドの開発: TSPOに結合するイメージング薬剤の最適化に向けて、化合物のカスタムライブラリーを作製し、モデルマウスやヒトサンプルを用いて評価を実施する。 3) QCリガンド開発: 開発されたPETイメージング薬剤を病態モデルマウスで評価すると共に、治療薬であるQC阻害剤のQCへの占有率をイメージングにより計測できるかどうか検討する。
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[Journal Article] Comparison of the binding characteristics of [18F]THK-523 and other amyloid imaging tracers to Alzheimer's disease pathology2013
Author(s)
Harada R, Okamura N, Furumoto S, Tago T, Maruyama M, Higuchi M, Yoshikawa T, Arai H, Iwata R, Kudo Y, Yanai K
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Journal Title
Eur J Nucl Med Mol Imaging
Volume: 40
Pages: 125-132
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Superiority illusion arises from resting-state brain networks modulated by dopamine2013
Author(s)
Yamada M, Uddin LQ, Takahashi H, Kimura Y, Takahata K, Kousa R, Ikoma Y, Eguchi Y, Takano H, Ito H, Higuchi M, Suhara T
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Journal Title
Proc Natl Acad Sci U S A
Volume: 110
Pages: 4363-4367
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Deficiency of schnurri-2, an MHC enhancer binding protein, induces mild chronic inflammation in the brain and confers molecular, neuronal, and behavioral phenotypes related to schizophrenia2013
Author(s)
Takao K, Kobayashi K, Hagihara H, Ohira K, Shoji H, Hattori S, Koshimizu H, Umemori J, Toyama K, Nakamura HK, Kuroiwa M, Maeda J, Atsuzawa K, Esaki K, Yamaguchi S, Furuya S, Takagi T, Walton NM, Hayashi N, Suzuki H, Higuchi M, Usuda N, Suhara T, Nishi A, Matsumoto M, Ishii S, Miyakawa T
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Journal Title
Neuropsychopharmacology
Volume: 38
Pages: 1409-1425
DOI
Peer Reviewed
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