2011 Fiscal Year Annual Research Report
甘味受容体による内分泌系の新たな制御システムの解明
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23390245
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
小島 至 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (60143492)
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Keywords | 甘味受容体 / カルシウム / サイクリックAMP / Cキナーゼ / 分化誘導 |
Research Abstract |
本研究は体内の甘味受容体、特に内分泌代謝調節臓器における機能を明らかにするとともにその生理学的病理学的意義を明らかにすることを目的としている。本年度は、膵β細胞、消化管内分泌細胞、脂肪細胞における甘味受容体の機能について研究を行った。 その結果、1)膵β細胞においては、甘味受容体が細胞内カルシウム系、サイクリックAMP(cAMP)系を活性化することがわかっている。そこでこの甘味受容体シグナルがインスリン分泌において最も重要な刺激因子であるグルコースの作用に関与しているかを検討した。これまでは、グルコースは細胞内に取り込まれた後に代謝を受け、産生されたATPによりATP感受性Kチャネルが抑制されて作用を発揮すると考えられてきた。鋭敏な細胞内メッセンジャーのモニター法を用いた検討により、グルコースが代謝に依存しない経路により細胞内カルシウムおよびcAMPの素早い増加を惹起することが判明した。この素早い反応は甘味受容体をノックダウンすると消失することから、甘味受容体を介するシグナルであることが判明した。2)消化管のGLP1産生細胞を用いて、甘味受容体アゴニストがどのようにしてGLP1分泌を促進するかを検討した。その結果、人工甘味料スクラロースは細胞内カルシウムを増加させるとともに、Cキナーゼを活性化し、さらにcAMPも増加させることが判明し、GPL1分泌も促進した。3)脂肪細胞においては、スクラロースの添加によって、脂肪前駆細胞から脂肪細胞への分化が抑制された。この作用は分化過程の前半、すなわち分化誘導因子添加の1-2日以内に顕著であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた検討は順調に進んでおり、研究計画に変更はない。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の進行状況は順調であり、今後は当初の計画通り進めていく。
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Research Products
(2 results)