2011 Fiscal Year Annual Research Report
中心体成熟・維持メカニズムの機能不全が骨髄系腫瘍の発症・進展に果たす役割の解析
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23390253
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
稲葉 俊哉 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (60281292)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本田 浩章 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (40245064)
松井 啓隆 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 准教授 (60379849)
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Keywords | MDS / エピゲノム制御 / 骨髄性白血病 / 7番染色体欠損 / 発がん抑制遺伝子 / 遺伝子欠損マウス / エンドソーム代謝 |
Research Abstract |
分裂像や核形態の異常は、RAEBなど病期の進行したMDSでほぼ全例に認められ、染色体不安定性を惹起して疾患の進行に深く関与すると考えられているが、その原因はほとんど解明されていない。われわれは、予後不良のMDSで高頻度にみられる7q-あ責任遺伝子のひとつとして、Mikiを同定し、Mikiが分裂期の中心体に存在して、前中期の進行に重要な役割を果たすことを解明してきた。本研究計画は、これまでの研究成果を特段に発展させ、MDSの分裂異常の病態を分子生物学的に解明することである。初年度である今年度は、7q-を有するMDS由来細胞株にMikiを強制発現させ、分裂期進行が正常化することを見出した。また、正常細胞の分裂制御解析実験系の確立や前中期中心体のチュブリン核形成の詳細解析を行った。これまでの分裂期制御の研究は、その大半が染色体数が70本前後のHeLa細胞など、がん細胞を材料に分析されてきている。しかし、初代培養細胞などを用いて、正常細胞の分裂期実験系を確立することは、mitotic indexが低いこと、遺伝子やsiRNAの導入効率が低いこと、細胞分裂回数に限度があって、観察のタイミングがとりにくいことなど種々の問題があり、容易ではない。今年度は、用いる細胞の選定や遺伝子導入の方法の改良など、基礎的な検討を進めた。また、前中期のチュブリン核形成活性を直接的に測定する方法として、チュブリン再展開アッセイ法を確立し,前中期中心体に存在する種々の蛋白質について、細胞分裂の促進に関わる機能の検討を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年計画の初年度で、実験系の確立を中心に検討したが、特に今後の研究の鍵となる、正常細胞の前中期推進メカニズムの解析実験系(使用する細胞、遺伝子やsiRNAの導入手法、細胞同調法など)がある程度確立され、次年度以降の研究計画の推進の見通しができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、今年度確立された実験系を駆使して正常細胞と、がん細胞の前中期のどこが違っているのか、われわれが鍵となる遺伝子として単離しているMiki、CG-NAP、dynactin3を糸口に解析を進める。また、現在レバイス中である論文を完成させる。
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Research Products
(8 results)