2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規システムによる骨髄増殖性疾患における未知の染色体転座および遺伝子変異の探索
Project/Area Number |
23390255
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
岡村 孝 久留米大学, 医学部, 教授 (30136436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥 英二郎 久留米大学, 医学部, 助教 (10569429)
水野 晋一 久留米大学, 医学部, 講師 (40569430)
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Keywords | 癌 / ゲノム / 白血病 |
Research Abstract |
本研究は、骨髄増殖性疾患(MPD)の特異的遺伝子異常を発見することを目的としている。MPDは、真性多血症(PV)、本態性血小板血症(ET)および原発性骨髄線維症(MF)から成り、近年Jak2・Tet2遺伝子異常などの病因遺伝子が発見されてきている。しかし、各疾患はそれら遺伝子変異のみでは説明できず、未知の疾患特異的な遺伝子異常が存在することが予測されている。MPDにおける、新しい臨床診断そして治療法開発の基盤を築くことを目指し、次の2点を中心に疾患特異的遺伝子異常の探索を開始した。 (1)新規開発ベクターシステムのMPDへの応用による未知の融合遺伝子の発見:新規開発のベクターシステムは、2段階DNA環状化法による高精度の単分子環状化cDNAライブラリー作成により高精度のメイトペア断片をillumina GAにて高速大量に遺伝子解析する方法であり、既知の融合遺伝子を有するAML症例の検討により効率良く融合遺伝子を発見できることを実証した。現時点までの解析では融合遺伝子の発見には至っていないが、すでに4症例の本態性血小板増多症(ET)に本システムの応用を開始している。 (2)全エクソン塩基配列決定によるMPDの包括的ゲノム解析:遺伝子変異の探索法として、(i)エクソン領域濃縮による遺伝子解析、(ii)cDNAライブラリーの均一化による発現遺伝子解析、を予定していたが、実験ではcDNAライブラリーの高レベル均一化は困難であることが明らかとなった。そのため、エクソン濃縮法による解析を選択し、濃縮効率についての検討を完了するとともに、若年発症ETの2症例についてエクソン濃縮を実施している。症例の蓄積と同時に全エクソン塩基解析による疾患特異的遺伝子変異の探索を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、申請時の方法のさらなる改良により、完全なノイズ排除を可能とした新規方法の開発、およびその有効性の実証に成功しており、融合遺伝子探索の効率とスピードは一層高まると予想している。一方、エクソン解析のために試行したcDNA均一化は期待するレベルに達しないことが明らかとなり、エクソン濃縮法に集中することとした。症例は順調に蓄積されており、全体として、(2)おおむね順調に進展している、と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方策として次の2点を中心に実施・継続する。(1)新規開発ベクターシステムの骨髄増殖性疾患(MPD)への応用による未知の融合遺伝子の発見のため、すでに開始している新規開発システムの応用を、さらに本格的に症例数を増やし若年症例を中心に20~40症例の本態性血小板血症(ET)および骨髄線維症(MF)対して行い、融合遺伝子発見へ向けて研究を継続・発展させてゆく。また、疾患特異的な遺伝子変異の探索のため(2)全エクソン塩基配列決定によるMPDの包括的ゲノム解析として、若年発症ETの6症例を対象としてエクソン濃縮法による全エクソン塩基配列解析を開始する。
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Research Products
(5 results)