2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23390274
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
中川 修 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (40283593)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂部 正英 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (00525983)
林 寿来 愛知医科大学, 医学部, 講師 (30533715)
林 環 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (50351648)
小西 登 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (20145832)
山岸 敬幸 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (40255500)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 転写調節因子 / 血管 / 心臓 / 発生分化 / 形態形成 |
Research Abstract |
遺伝子発現調節機構、特に転写因子複合体による転写調節機構は心血管系の発生・形態形成・成熟機能調節機構の根幹をなし、多様なシグナル伝達系のクロストークの中心において機能する。これまでに私達は、Notch情報伝達系の下流ターゲット因子であるHrt転写因子ファミリーを同定し、Hrtが心血管系の分化・形態形成に必須の役割を有することを報告してきた。今回の研究では、KOマウス・conditional KOマウス、トランスジェニックマウスと新しい分子生物学的手法を組み合わせ、心血管発生におけるHrtファミリー機能の細胞特異性、上流シグナルによる発現調節機構、下流遺伝子を介した心血管細胞機能制御メカニズムを明らかにすることを目的としている。これらを通じて、心血管系の発生・形態形成・成熟機能を制御する転写調節・情報伝達ネットワークの解明に貢献することが期待される。 これまでに、Hrt転写因子欠損による先天性心奇形と血管形成不全の直接の原因がどのような細胞群で生じているのかを解析するため、血管内皮・血管平滑筋細胞・心筋に特異的なconditional KOマウス系の作成をおこない、その表現型の差異を詳細に解析した。そのうち、血管内皮細胞特異的なHrt1/Hrt2 conditional KOマウスは、全身からHrt1/Hrt2を欠損したKOマウスと同様の重篤な血管形成不全を生じたが、他の細胞におけるHrt欠損による表現型は明らかに異なっていた。血管内皮細胞におけるHrt欠損が内皮細胞内のリン酸化酵素活性異常を引き起こすことも明らかになり、そのメカニズムが注目された。他にもHrt転写因子の欠損による、新たな心血管系異常が発見されており、今後更に、Hrtの下流ターゲット遺伝子との機能的連関を検討してゆく計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに血管内皮・血管平滑筋細胞・心筋に特異的なHrt conditional KOマウス系の作成をおこなっており、最も進行が早かった血管内皮細胞特異的なHrt1/Hrt2 conditional KOマウスの表現型解析は終了した。血管内皮細胞特異的なHrt欠損により重篤な血管形成不全を生じ、内皮細胞におけるHrt機能の重要性が確認された。また、心筋特異的なconditional KOマウスの解析もほぼ終了しており、その表現型が血管内皮特異的欠損による表現型と明らかに異なっていることが明らかになってきた。Hrt遺伝子の部分欠損を有する親世代マウスにも有意な異常が認められたことより、個体数を確保する作業に対して長い期間を必要とすることが判明したが、残る血管平滑筋細胞特異的なconditional KOマウスの解析も進行中である。Tandem Affinity Purification用の融合Hrt2タンパクtransgenicマウスの作成と発現解析も進行しており、今後、Hrt転写因子の機能、下流ターゲット遺伝子、発現制御機構の解析を行なう計画である。
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Strategy for Future Research Activity |
血管内皮・血管平滑筋細胞・心筋に特異的な3種類のHrt conditional KOマウス系の異常の比較を行い、細胞特異的なHrt機能の検討を行う。また、すでに作成したHrt1およびHrt2 KOマウスについて、血管系および心臓の形態形成の異常に着目した詳細な表現型解析も行なって、Hrtの心血管発生・形態形成における意義を明らかにする。さらに、Microarray解析、Tandem Affinity Purification、プロモーター・エンハンサー解析、培養細胞における細胞遊走・血管形態形成モデル実験などを用いて、Hrtの分子機能解析、下流ターゲット遺伝子解析、心血管特異的発現制御機構解析を行なう計画である。
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Research Products
(7 results)