2011 Fiscal Year Annual Research Report
G蛋白結合型受容体とシナプスを標的とした共通病態基盤同定と自閉性障害治療法開発
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23390275
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
山形 崇倫 自治医科大学, 医学部, 教授 (00239857)
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Keywords | 自閉性障害 / CNV / 候補遺伝子解析 / モデルマウス / セクレチン受容体 |
Research Abstract |
自閉性障害(ASD)の病因遺伝子同定と病態解明し治療法を開発するため、患者での変異検出と、モデルマウス解析を行った。 (1)ASD患者での病因遺伝子同定 Agilent社Human CGHアレイ(180Kx4)を用いたアレーCGH解析をASD患者52名に実施し、10例に疾患との関連性が示唆される染色体微細欠失/重複(CNV)を検出した。病因と考えられた遺伝子の1つは既報告のSHANK3の欠失で、1例はMAOA、Bの欠失だった。他は、細胞接着に関連する遺伝子とチャネル遺伝子が各1例、脳での作用が不明な遺伝子が2例で、4例はCNV領域に複数の候補遺伝子が含まれ、病因遺伝子を検討中である。検出された遺伝子について、他の患者での塩基置換の有無を解析中である。 (2)KOマウスを対象としたASDに共通する分子機構の解析 我々は、ASD患者で変異が検出された遺伝子(Cadm1、Gpcrs)や、ノックアウト(KO)マウスが社会性の障害を示しASDとの関連が考えられるSctrのKOマウスを作製し解析している。 ASDにセロトニンが関与していることや脆弱X症候群とグルタミン酸受容体、GABA受容体の関連などから、ASDの病態に神経伝達物質受容体が関与している可能性が推定され、各KOマウス脳での発現を免疫組織学的に解析した。 一部のKOマウスでdopamin受容体の発現変化が検出され、病態との関連を解析中である。 また、各K0マウスおよび野生型マウス脳からmRNAを抽出し、Agilent社Sure Print G3 Mouse GEマイクロアレイ(60K)を用い、K0マウスで野生型と発現が異なる遺伝子を解析した結果、oxytocineとvasopressinの変化が検出された。これらは、社会行動との関連が報告されており、ASDの病態に共通する分子の一つであり、治療ターゲットとなる可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
患者解析は順調に進展しており、候補遺伝子も複数検出されている。ノックアウトマウス解析は一部系統で若干の解析の遅れはあるが、アレー解析、免疫組織化学解析も行われ、結果を得られつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
現状で順調に経過しており、このまま各解析を継続する。 一部の遺伝子のノックアウトマウスで優位な結果を得られていない物もあり、解析を中止し、有望な遺伝子の解析をより充実させる可能性も検討中である。
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Research Products
(4 results)