2012 Fiscal Year Annual Research Report
HSV/HIV 経皮感染初期の免疫機構の解明と侵入阻害法の開発
Project/Area Number |
23390282
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
島田 眞路 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (10114505)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 和俊 山梨大学, 医学部附属病院, 講師 (20324197)
柴垣 直孝 山梨大学, 医学工学総合研究部, 准教授 (40262662)
川村 龍吉 山梨大学, 医学部附属病院, 講師 (70262657)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | HIV / HSV / 性行為感染症 |
Research Abstract |
目的) HSVやHIVの皮膚への侵入に際し、個々の細胞群の自然免疫反応が皮膚全体してどのように生体内侵入に関与しているかについて、ex vivo皮膚感染モデルを用いて、HSV感染による表皮細胞(KC)由来のanti-microbial peptides:AMPやATP(アデノシン三リン酸)産生能を測定し、それぞれのHIV感染に対する影響について検討する。 方法)近年、細胞ダメージによって放出されるATPが重要なDanger signalの一つとして着目されているが、KCの細胞ダメージを誘発するHSV感染におけるATPの免疫惹起作用についての報告は未だない。そこで、HSV2を培養表皮細胞に曝露し、ATP産生量を測定した。さらに単球由来ランゲルハンス細胞(mLC)を用いて、LCのHIV感染に対するATPの影響を検討した。 結果)1.HSVの曝露により正常ヒト表皮細胞:NHEKからATPの細胞外放出が観察され、この放出はHSVのMOI依存性に認められた。2.さらにmLCのR5 HIV感染性はATPの添加によって有意に増加した(HIV p24細胞内染色およびフローサイトメトリー解析)。 意義)前年度の研究結果から、HSVは表皮細胞に抗菌ペプチドLL37を誘導し、さらにLL37はランゲルハンス細胞表面のHIVレセプター発現を上昇させてHIVに対する易感染性を増加させることで、HIVの生体内侵入を促進している可能性が示唆されたが、今回の実験結果はHSVによるLCのHIV感染増強作用が、LL37のみでなく細胞外ATPによる間接的な作用を介していることを示している。このことから細胞外ATPの不活化作用を持つアピラーゼなどが新たな性行為HIV感染予防薬として有用な可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞ダメージによって放出されるATPが皮膚科領域でもっとも頻度の高いHSV感染で産生されることや、この細胞外ATPが性行為HIV感染における最も重要な初期感染ターゲットであるLCのHIV感染を増強することは、いづれも全く新しい知見であり、さらに性行為HIV感染予防の観点からもこれらの知見は大きなインパクトをもつと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでmLCを用いて得られた知見をヒト皮膚を用いたex vivo感染モデルで検討する予定である。具体的にはATP不活薬アピラーゼの前処置によって、HSVによるLCのHIV感染増強効果が抑制されるかについて検討したい。
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