2012 Fiscal Year Annual Research Report
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23390283
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
平川 聡史 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (50419511)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 血管新生 / 遺伝子改変マウス / リンパ管新生 / 細胞遊走 / 治療 |
Research Abstract |
炎症遷延化の一因に「リンパ管新生とリンパ管機能の破綻」があることを同定し、分子機構を解明する。尋常性乾癬を始め、血管透過性の持続的亢進は、慢性炎症の原因となる。この生物学的事象は血管新生と呼び、血管透過性の亢進は血管新生の初期段階である。血管新生を誘導する液性因子には、vascular endothelial growth factor (VEGF)-Aが知られる。VEGF-Aは、生理的血管新生を誘導すると病的環境では血管新生のみならずリンパ管新生を促進することを申請者は見いだした。そこで、本研究課題ではVEGF-Aがリンパ管新生に及ぼす影響を検討して来た。従来、組織液を回収するリンパ管機能に着目した研究は乏しいのが現状である。そこで本研究課題は、①毛細リンパ管に特異的に発現する分子lymphatic vessel endothelial hyaluronan receptor (LYVE)-1に着目し、リンパ管吸収能に関わる生理的役割を見出す。②血管新生因子であり炎症性サイトカインとして認識されているVEGF-Aが、LYVE-1のectodomain sheddingを誘導する分子機構を同定する。③LYVE-1 ectodomain sheddingが、リンパ管新生にどのような役割を果たすか検討する。④リンパ管新生に関わるex vivo及びin vivoモデルを構築し、LYVE-1 sheddingがリンパ管吸収能の低下に繋がることを示す。この結果、shedding阻害薬がリンパ管機能を回復し、皮膚の慢性炎症を軽減する可能性を追求する。本研究では以上5つの検討課題を挙げてリンパ管機能に着目し、炎症に対する治療基盤の創出に取り組んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①ヒト皮膚由来リンパ管内皮細胞を用いてLYVE-1のectodomain sheddingを検討したから。VEGF-Aは、リンパ管内皮細胞に発現するVEGFR-2に結合し、リン酸化を誘導することが明らかになった。さらに下流にはMAPKが存在し、A disintegrin and metalloproteinase (ADAM)の局在と活性を制御していることを推察し、検討を続けた。ADAM17はLYVE-1を基質とし、細胞外領域で切断する可能性があり、リンパ管内皮細胞にはADAM17が発現していることを、核酸及び蛋白レベルで確認した。LYVE-1のectodomain sheddingを確認する方法は、アルカリフォスファターゼとのfusion proteinをcDNAとして構築し、アデノウイルス・ベクターを用いて発現するレポーターシステムを用いた。培養リンパ管内皮細胞にアデノウイルスを感染させ、目的蛋白を発現し、組換えVEGF-Aを添加すると、培養上清中にはアルカリフォスファターゼ活性が認められた。この結果、LYVE-1はVEGF-Aにより切断されることが確認された。②LYVE-1細胞内領域に対するモノクローナル抗体を作成したから。LYVE-1 C末断片を病理組織学的に検出する新たな抗体を作製した。尋常性乾癬は代表的な炎症性皮膚疾患である。本疾患では過剰なVEGF-A が表皮で産生され、血管・リンパ管新生を促進している。即ち、LYVE-1のsheddingを検討することは、乾癬におけるリンパ管の病的変化を理解することに他ならない。LYVE-1はCD44と相同性が高いため、モノクローナル抗体を作製する必要があり、本研究課題で新規モノクローナル抗体を作成した。
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Strategy for Future Research Activity |
①尋常性乾癬部位におけるLYVE-1 ectodomain sheddingを検出する。新規に作成したLYVE-1細胞内領域を検出するモノクローナル抗体と市販されている細胞外領域に対するポリクローナル抗体を用いて病理組織学的に検討する。LYVE-1 ectodomain sheddingが誘導されれば、二つの抗体による染色パターンは一致しないことが予想される。②血管-リンパ管マイクロ流路を構築する。血管透過性が変化する環境で、リンパ管の吸収能を経時的かつ定量的に測定するex vivoシステムを作成する。このマイクロ流路は直径300 nmの内腔を持つ新規流体デバイスである。新規マイクロ流路は、佐藤香枝博士(日本女子大学)より供与される。まず、マイクロ流路を用いたリンパ管吸収試験を行う。VEGF-Aにより実験的炎症を誘導し、リンパ管吸収能の破綻を定量的に評価する。次に、リンパ管にLYVE-1を発現させる(アデノウイルス発現系)。LYVE-1によりリンパ管吸収能が亢進し、支持膜を介して蛍光デキストランが移動することを確認する。さらに、流路に生じた蛍光強度で、リンパ管吸収能を定量的に評価する。血管にVEGF-Aを添加することにより、血管流路では透過性が亢進する。リンパ管へ蛍光デキストランとVEGF-Aが移動することが予想される。LYVE-1のsheddingが誘導され、リンパ管の吸収能が減弱する可能性がある。リンパ管側の流路には蛍光強度の変化が誘導され、リンパ管機能の破綻を定量的に評価することが可能になる。本検討課題を実現することにより、血管・リンパ管の微小循環生理に基づくリンパ管の吸収能を定量する新たな評価系を構築したい。
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Research Products
(11 results)