2011 Fiscal Year Annual Research Report
統合失調症の病態発生因子としてのミクログリアの機能解析
Project/Area Number |
23390289
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
佐藤 康二 浜松医科大学, 医学部, 教授 (80235340)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 則夫 浜松医科大学, 医学部, 教授 (00174376)
松崎 秀夫 浜松医科大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (00334970)
植木 孝俊 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (60317328)
中村 和彦 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (80263911)
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Keywords | 統合失調症 |
Research Abstract |
平成23年度は、統合失調症の培養脳スライスモデルを調製し、そこでの炎症反応の生起に伴うミクログリアでの遺伝子発現変化を解析することによって、ミクログリアの活性化に関与する脳内因子の探索を行った。初めに、ミクログリア特異的に緑色蛍光タンパク質(EGFP)を発現する遺伝子改変マウス(IbaI-EGFPマウス)の胎仔を、polyriboinosinic-polyribocytidilic acid(poly(I:C))に感染させ統合失調症マウスモデル(EGFP-Schiマウス)を作製し、その若年個体脳より脳スライス培養系を調製した。ここでは、申請者ら独自の蛍光機能プローブを、調製した培養系に導入することにより、IL-1β前駆体からIL-1βを生成するカスパーゼ1の酵素活性を、生組織中でリアルタイムにイメージングし、ミクログリア活性化に先立つ炎症反応の惹起を検出した。ここで、炎症反応の初段階におけるカスパーゼ1の賦活と、それに続くIL-β産生に伴う蛍光機能プローブからの蛍光を検出した直後に、laser capture microdissection(LCM)によりミクログリアを分離し、DNAマイクロアレイを用いて、ミクログリアでの遺伝子発現変化を解析した。本研究ではDNAマイクロアレイでの解析結果に基づき、ミクログリアの活性化を誘引する炎症性因子の探索を行った。次に、23年度は、申請者らの統合失調症患者でのPETによるミクログリアの脳内動態解析の結果、顕著なミクログリアの活性化を認めた内側前頭前野等の脳領域について、EGFP-Schiマウスの脳スライスで、電子顕微鏡による形態学的解析とパッチクランプ法による神経回路解析を行った。ここでは、ミクログリア近傍の局所神経回路を刺激あるいは抑制することによる活性性化ミクログリアの挙動変化を、脳スライスで蛍光顕微鏡下に解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
IL-β前駆体からIL-1βを生成するカスパーゼ1の酵素活性を、生組織中でリアルタイムに画像化するための蛍光機能プローブを創製することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、まず、EGFP-Schiマウスにおいて、ミクログリアの活性化を惹起する脳内因子の探索を行い、続いて、統合失調症特異的な神経活動の賦活あるいは抑制が、ミクログリアを活性化する仕組みを解明する。さらに、それらのin vivo解析により、統合失調症罹患脳に特異的なミクログリアの活性化や神経活動の変動等との関連が示唆された脳内因子を分子標的とする、統合失調症の早期診断及び治療のための基礎的な知見を得る。
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