2012 Fiscal Year Annual Research Report
肝移植/臓器移植における凝固・線溶系異常の病態解明と新規治療法の開発
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23390313
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上本 伸二 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40252449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小倉 靖弘 名古屋大学, 医学部附属病院, 准教授 (20335251)
秦 浩一郎 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (90523118)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 肝移植 / 血栓性微小血管障害 / ADAMTS13 / HMGB1 |
Research Abstract |
【目的】近年、肝移植を始めとする臓器移植後の致死的合併症として、血栓性微小血管障害( thrombotic microangiopathy: TMA)が注目されている。これは血管内皮細胞で合成される止血因子von Willebrand 因子マルチマー(vWF)と、その特異的切断酵素であるADAMTS13 とのバランスが崩れた結果、血小板が過剰凝集し、微小循環障害から多臓器不全を引き起こす疾患であるとされるが、特に臓器移植後TMA 発症におけるその詳細なメカニズムは解明されていない。一方で、トロンビン存在下で強力に凝固系を腑活するHMGB1 なる核蛋白とその制御因子であるトロンボモジュリンの存在が明らかにされている。本研究では、肝移植におけるこれら凝固・線溶系因子の発現解析から、肝局所及び全身循環におけるTMA の発症機序・病態解明を目指すと同時に、新たなる予防・治療戦略を考案することを目的とする。【研究方法】2011年度に施行した70例の肝移植症例の門脈圧、グラフト肝重量/レシピエント体重比とADAMTS13、vWF、HMGB1、TMとの相関を解析し、TMA発症や血小板減少に関わる因子を抽出した。並行して基礎研究としては、摘出したラット全肝グラフトをrecipient には移植せず、HTK/ UW 液を用いた4℃ の単純浸透冷保存の後、IPRL を用いて血流再開後(温再灌流後)の各種凝固・線溶系因子の変化を解析した。【本年度の成果】肝移植後早期の血漿ADAMTS13の動態が明らかとなった。ラット肝を用いたIPRLにより、グラフト肝の冷阻血温再灌流が類洞/血管内皮障害を引き起こし、ADAMTS13活性の低下に深く関与している事、および常温灌流保存により障害を軽減出来る可能性がある事が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
IPRLによる、現状の保存法である単純冷保存によるグラフト肝の評価は順調に進行している。常温灌流保存システムの作成も予定通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
基礎研究においては、本年度より自作した臓器保存液を用いた本格的なラット肝温灌流保存-移植実験を開始する予定である。臨床研究においては、一般的な血栓性微小血管障害の原因として補体系がクローズアップされている事に着目し、計画していた研究に加え、過去の検体を用いて、肝移植後の微小血管障害における補体の関与を検証していく予定である。
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Research Products
(2 results)