2011 Fiscal Year Annual Research Report
移植医療への応用を目指した次世代免疫細胞療法の構築に関する研究
Project/Area Number |
23390315
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Field |
General surgery
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
梨井 康 (独)国立成育医療研究センター, RI管理室, 室長 (60321890)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 廣光 (独)国立成育医療研究センター, 共同研究管理室, 室長 (80115477)
高原 史郎 大阪大学, 大学院・医学研究科・先端移植基盤医療学, 教授 (70179547)
奥見 雅由 大阪大学, 大学院・医学研究科・泌尿器学, 助教 (60512978)
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Keywords | 移植・再生医療 / 幹細胞 / 細胞・組織 |
Research Abstract |
本年度の研究は、1.iPS細胞からより簡易・大量に樹状細胞(DC)作製する方法の確立を行った:今まで確立したES、iPS細胞から樹状細胞を作成する分化誘導技術を基盤として、細胞免疫治療に用いる各種DCを簡易に大量に作製するための分化誘導方法を検討した。Step-1で7日間培養し、iPS細胞のコロニーが十分に分化したことを確かめたのち、Step-1の1枚の培養皿をトリプシン処理し、iPS細胞、OP9細胞とも単細胞にし、ゼラチンコートしたStep-1と同サイズの培養皿3枚に等量に播種し、Step-2の培養過程に入り、十分量の分化誘導された浮遊細胞を得ることができた。Step-2の速い時期で、その後の培養により、DCの能力を十分に備えた細胞を既存培養方法よりも3日ほど早く、かつ2倍ほどの大量な分化細胞を得ることができた。また、Step-3での分化誘導培養時に使用する培養皿に多くの細胞が接着し、マクロファージに分化しやすい傾向があった。この点を改良するためHydroCell培養皿に播種したところ、DCの性質に相応した培養ができ、効率的にDCを得ることができた。2.iPS細胞から制御性DC(iPS-DCreg)への分化誘導およびその機能解析を行った:iPS-DCreg細胞の誘導は、IL-10、TGF-β等様々なサイトカインの添加によって検討した。その結果、iPS-DCregでは、骨髄由来制御性DC(BM-DCreg)とほぼ同様で、Ia、CD80、CD86、CD40等表面分子の発現は通常性(Conventional)DC(DCconv)より顕著に減弱した。ギムザ染色による細胞形態の観察においてもBM-DCregとの差が見られなかった。また、卵白アルブミン(OVA、タンパク質抗原)或はデキストラン(Dextran、糖質抗原)の抗原プロセシング機能が維持されていることが確認できた。さらに、iPS-DCregは、BM-DCregと同様アロ刺激によるT細胞増殖の抑制機能がiPS-DCregの用量に比例していた。これらの結果からiPS細胞から制御性DCに分化誘導することができたといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度において、主に細胞免疫治療に用いる各種DCの簡易・大量に作製するための方法および制御性DCの分化誘導方法の確立等に重点を置き、これらの方法を確立したことで、今後のIn vivoでの動物モデルを用いて制御性DCの機能の検証には大いに役に立つ。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度で確立したiPS細胞から各種DCの簡易・大量に作製するための方法および制御性DCの分化誘導方法を生かして、他の免疫抑制細胞の分化誘導をさらに進め、これら細胞の免疫抑制機序の解明、動物移植モデルの検証による細胞療法の構築等を通じて、次世代免疫抑制細胞の本質を理解し、安全で安定した免疫抑制状態を誘導するとともに、免疫寛容を成立させる手技を開発していく予定。
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