2012 Fiscal Year Annual Research Report
肝内胆管癌を標的とするハイブリッドペプチドによる新しいバイオ療法の研究開発
Project/Area Number |
23390318
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
石毛 和紀 筑波大学, 医学医療系, 講師 (20597918)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 薫 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (00192162)
柳川 徹 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (10312852)
山本 雅一 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (60220498)
川上 浩司 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70422318)
正田 純一 筑波大学, 医学医療系, 教授 (90241827)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 胆道系悪性腫瘍 / 分子標的治療 / ハイブリッドペプチド / サイトカイン / 受容体 |
Research Abstract |
これまでヒト胆道癌にinterleukin-4 receptor(IL-4R)が高発現していることが確認されており,IL-4Rに緑膿菌外毒素のPseudomonas Exotoxin(PE)を結合したIL-4受容体標的サイトトキシン(IL-4-PE)が,ヒト胆道癌に対する強力な抗腫瘍効果が示された.近年では,細胞殺傷能力を有するペプチドや強力な抗腫瘍効果を有するペプチドが複数報告されている.そこで癌細胞表面分子と結合する特異的な「弾頭ペプチド」と癌細胞膜融解による細胞殺傷効果を有する「爆薬ペプチド」を組み合わせ,抗癌活性を有する「ハイブリッドペプチド (hybrid peptide)」の作製に成功し,IL-4Rに結合するIL-4R-hybrid peptideのヒト胆道癌に対する有用性を検討した.腫瘍細胞(TBBC-1-TKB,TGBC-2-TKB,TGBC-44-TKB,KKU-100,KMCH,KMBC,SK-1,CCKS-1)を0~20μMの各培地濃度で72時間培養し,抗腫瘍効果を判定した.In vitroの系でヒト胆道癌において,正常細胞と比較し抗腫瘍効果を認めた. 今回,IL-4R-hybrid peptide が,これまでのタンパク製剤の弱点である分子量が大きい点,中和抗体の産生,肝毒性などの面を克服する新たな分子標的治療薬として有用かどうかを検討し,正常細胞と比較して有意に抗腫瘍効果を示し,今後の胆道癌治療の一助となりえる可能性が示唆された. 本研究では,肝内胆管癌に対する新しいバイオ療法を確立する目的で,肝内胆管癌の表面分子を探索し,抗癌ペプチドとの組み合わせにより新規ハイブリッドペプチドを作製し,その抗癌効果について検証した.肝内胆管癌は完全治癒の期待出来ない難治性の癌であり,特に進行症例に対しての新規治療法の演じる役割は大きいと考える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
震災の影響によりフリーザーにストックしていた細胞がダメージを受けたこと,また,胆道癌細胞がマイコプラズマに感染していることが判明し,その除菌に時間を要した.その後の努力によりヒト胆道癌細胞の培養系がようやく安定し,現時点において,ヒト胆道癌におけるIL-4Rを標的としたhybrid peptideの有用性を細胞レベルで確認したところである.以前に論文にて報告したIL-4 cytotoxinと同等の効果であった.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究成果において,ヒト胆道癌におけるIL-4Rを標的としたhybrid peptideの有用性を細胞レベルで確認した.また,ヒト胆道癌細胞の中より浸潤能および転移能の高い細胞(TGBC-44-TKB)を抽出することに成功した.さらに,本細胞にルシフェレース遺伝子を導入することにも成功し,in vivo imagingによるがん細胞の悪性挙動の評価が可能となった.今後は,ヒト胆道癌の特徴に注目し,マウスの同種移植,転移モデルにおけるIL-4-hybrid peptideの有用性を検討していく予定である.
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Research Products
(12 results)