2012 Fiscal Year Annual Research Report
S1P・ヒアルロン酸修飾リポソームを用いた難治性肝障害に対する新規治療薬の開発
Project/Area Number |
23390319
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大河内 信弘 筑波大学, 医学医療系, 教授 (40213673)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福永 潔 筑波大学, 医学医療系, 講師 (20361339)
小林 昭彦 筑波大学, 医学医療系, 講師 (10446552)
田村 孝史 筑波大学, 医学医療系, 講師 (20633192)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 肝再生 / 血小板 / 線維化抑制 / 肝硬変 / S1P / ヒアルロン酸 |
Research Abstract |
我々は血小板が強力な肝再生促進効果,線維化抑制効果,細胞障害抑制効果を持つことを世界で初めて報告し,血小板輸血による難治性肝疾患治療の探索的臨床試験を開始した.また,血小板による肝病態制御の生理活性の本体が血小板に含まれるスフィンゴシン1 リン酸(S1P)による肝類洞内皮細胞の活性化であることを発見した.本研究の目的はS1P の分子生物学的作用機序の解明と選択的に肝臓に集積させるためにS1P とヒアルロン酸を修飾したdrug deliverysystem を開発することである.加えて,劇症肝炎,慢性肝炎,肝硬変,NASH などの肝疾患モデルを用い新規薬剤であるS1P・ヒアルロン酸リポソームの病態制御ならびに肝再生促進効果を明らかにする.最終的には新規肝再生治療薬を用いて,難治性肝疾患患者を治療することを目的とする. 23年度はS1Pに着目し,不死化ヒト肝類洞内皮細胞株および不死化ヒト肝星細胞に添加してその効果を検討した.24年度はS1Pを肝類洞内に特異的に集積させるdrug delivery system(DDS)を数種類検討した.ヒアルロン酸は肝類洞内皮細胞に選択的に取り込まれることからヒアルロン酸とS1Pを結合させた数種類のDDSを生体内で検討した.生体のモデルとしてマウス70%肝切除モデルと虚血再灌流モデルでS1Pの効果を検討した.70%肝切除時にS1Pを投与して肝再生の様々なパラメーターを測定したが,現在のところ明らかな優位性を証明できず,引き続き実験を継続する.またラット虚血再灌流モデルにS1Pを投与する実験を行った.S1P単独投与では肝障害の軽減は認められなかったが,現在開発中のS1Pとヒアルロン酸を結合させたDDSでは有意に肝障害を抑制することに成功した.今後は肝再生へのS1Pの作用,肝細胞癌に対する影響などを検討し,画期的な肝疾患治療薬の開発に結び付けていく.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
S1Pとヒアルロン酸を結合させたDDSの開発が進行中であり,動物実験で成果が出始めているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はより効果的なS1PのDDS開発を続けていくとともに,肝再生へのS1Pの作用,線維化,非アルコール性脂肪性肝炎,劇症肝炎,肝細胞癌に対する影響などを検討する。S1Pを効率的に肝臓に到達させ,画期的な肝疾患治療薬の開発に結び付けていく。
|