2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23390330
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Field |
Digestive surgery
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
高木 都 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (00033358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 祥介 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (00142381)
國安 弘基 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (00253055)
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Keywords | セロトニン4受容体 / 腸壁内神経 / 神経再生・新生 / 内肛門括約筋 / セロトニン取り込みタンパク |
Research Abstract |
本研究では、最近発見した排便反射を促進する作用を有する低分子化合物5-HT_4受容体刺激薬、クエン酸モサプリドの腸壁内神経系再生促進作用(クエン酸モサプリド用途特許出願中:特願2008-281131)を含む多領域にわたる神経の再生・新生作用の可能性とそのメカニズムの解明を基礎研究にて明らかにし、その制御を可能にするための基盤となるエビデンスを得る事を目的とする。 今年度は、腸管切離吻合モデル(モルモット、ラット、マウス)で5-HT_4受容体刺激薬、クエン酸モサプリドを直腸切離吻合部局所または飲水投与して壁内神経系再生促進作用の起こるメカニズムを解明する研究を進めた。さらに、腸壁内神経新生作用も明らかにし、そのメカニズムの解明を進める研究も行った。これらの再生・新生した壁内神経系の性質やそのネットワークの生理的機能の評価はモルモットの直腸伸展誘導内肛門括約筋弛緩反射反応の有無で行った。並行して、別のチームには、腸管切離吻合モデル(ラット)を用い、5-HT_4受容体刺激薬の特異性を調べるためにセロトニン取り込み阻害薬(フルボキサミン)(内因性のセロトニン増加を起こす)を作用させてその効果を検討した。その結果、クエン酸モサプリドは局所投与、経口投与のどちらでも同様に腸壁内神経再生効果を示した。この効果は5-HT_4受容体遮断薬によって完全に切れることから、5-HT_4受容体の活性化による作用であることが証明できた。一方、セロトニン取り込み阻害薬は内因性のセロトニンを増加させて、同様に、神経再生・新生作用を起こすことを期待したが、全くそのような効果は得られなかった。現在、この原因を解明するためにセロトニン取り込みタンパクである(SERT)の免疫染色を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究実績の概要に述べた成果は、American Journal Physiology Gastrointestinal Physiologyに2011年12月に受理されdoi:10.1152/ajpgi.00284-2011に発表された。したがって、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度には、腸管切離吻合モデルでクエン酸モサプリドにより再生・新生した壁内神経系やそのネットワークを2光子励起顕微鏡によるin vivo イメージングにより生きたまま形態学的に評価するシステムを、生理学研究所鍋倉教授との共同研究で、まず既存の神経の光るトランスジェニックマウスを使って確立する。ついで埼玉大学中井教授が作製する神経活動に応じて神経が光るトランスジェニックマウスを入手でき次第、in vivo イメージングによる生理実験法を確立する。入手困難な場合を想定して、並行してクエン酸モサプリドのWS4巨大結腸症モデルマウスにおける神経再生・新生促進作用を調べる。
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Research Products
(12 results)