2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23390330
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
高木 都 奈良県立医科大学, 医学部, その他 (00033358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
國安 弘基 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (00253055)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | セロトニン4受容体 / 腸壁内神経 / 神経再生・新生 / 腸管切離吻合モデル / セロトニン取り込みタンパク / 2光子顕微鏡 / WS4巨大結腸症モデルマウス / GCaMP トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
本研究では、最近発見した排便反射を促進する作用を有する低分子化合物5-HT4受容体刺激薬、クエン酸モサプリドの腸壁内神経系再生促進作用(クエン酸モサプリド用途特許第5089556号2012.9.21登録)を含む多領域にわたる神経の再生・ 新生作用の可能性とそのメカニズムの解明を基礎研究にて明らかにし、その制御を可能にするための基盤となるエビデンスを得る事を目的とする。 今年度は、腸管切離吻合モデルでクエン酸モサプリドにより再生・新生した壁内神経系やそのネットワークを2光子励起顕微鏡によるin vivoイメージングにより生きたまま形態学的に評価するシステムの確立を生理学研究所鍋倉教授との共同研究で、まず既存の中枢神経の光るトランスジェニックマウスを使って成功し、光る腸壁内神経系の観察に成功した。 ついで埼玉大学中井教授が作製する神経活動に応じて神経が光るトランスジェニックマウス (GCaMP TG mouse) はコロニーが作成できたので、in vivoイメージングによる生理実験法の確立をめざしたが、GFPで腸壁内神経は光っているが、腸管を刺激しても腸壁内神経の輝度はかわらず、生理的な反応は取得できなかった。今後は別の系のマウスで試みる。 並行して、WS4巨大結腸症モデルマウスで、クエン酸モサプリドの飲水投与1週間で先天性の壁内神経欠損に対する治癒効果を調べた。実験に用いたWS4マウスは、へテロ体であるため、腸壁内神経系の欠損状態がマイルドであったため、効果の判定がむずかしく、結論を得ることはできなかった。 腸管切離吻合モデル(ラット)を用い、5-HT4受容体刺激薬の特異性を調べるためにセロトニン取り込み阻害薬(SSRI: フルボキサミン)(内因性のセロトニン増加を起こす)を作用させてその効果を検討した。その結果、セロトニン取り込み阻害薬では全く効果は得られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究実績の概要に述べた成果の1部は、Kawahara I, Kuniyasu H, Matsuyoshi H, Goto K, Obata K, Misawa H, Fujii H, Takaki M: The comparison of effects of a selective 5-HT reuptake inhibitor versus a 5-HT4 receptor agonist on in vivo neurogenesis at the rectal anasotomosis in rats. として、Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol 302: G588-G597, 2012. に発表された。 また、2光子励起顕微鏡によるin vivoイメージングにより生きたまま形態学的に評価する研究成果は、Goto K, Kato G, Kawahara I, Luo Y, Obata K, Misawa H, Ishikawa T, Kuniyasu H, Nabekura J, Takaki M: In vivo imaging of enteric neurogenesis in the deep tissue of mouse small intestine. として、PLoS ONE 8 (1): e54814, 2013. に発表された。 従って、概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、腸管切離吻合モデルでクエン酸モサプリドにより再生・新生した壁内神経系やそのネットワークを2光子励起顕微鏡によるin vivoイメージングにより生きたまま形態学的に評価するシステムの確立を生理学研究所鍋倉教授との共同研究で、まず既存の中枢神経の光るトランスジェニックマウスを使って成功し、光る腸壁内神経系の観察に成功したので、次は神経幹細胞移植によって吻合部位に新細胞ができるかどうかをin vivoイメージングで調べる。この結果により、神経幹細胞が血流を介して動員され、吻合部位で神経に分化していく道筋を明らかにすることができる。 ついで埼玉大学中井教授が作製する神経活動に応じて神経が光るトランスジェニックマウス (GCaMP TG mouse) で、in vivoイメージングによる生理実験法の確立をめざしたが、GFPで腸壁内神経は光っているが、腸管を刺激しても腸壁内神経の輝度はかわらず、生理的な反応は取得できなかったので、今後は別の系のマウスで同様のことを試みる。 腸管切離吻合モデル(ラット)を用い、5-HT4受容体刺激薬の特異性を調べるためにセロトニン取り込み阻害薬(SSRI: フルボキサミン)(内因性のセロトニン増加を起こす)を作用させてその効果を検討した。その結果、セロトニン取り込み阻害薬では全く効果は得られなかったので、クエン酸モサプリドの単独効果とSSRIとの併用効果を比較検討する。 糖尿病モデルマウスに1年半以上にわたってクエン酸モサプリドを飲水させ、末梢神経障害を予防できるかどうか検討する研究を今年度当初から始めた。もし、クエン酸モサプリドが有効であれば、糖尿病患者の末梢神経障害の治療薬としての可能性が広がってくる。
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Research Products
(6 results)