2013 Fiscal Year Annual Research Report
TFPI・アンチトロンビン・トロンボモジュリンによる体外循環中の複合的抗凝固戦略
Project/Area Number |
23390332
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
平松 祐司 筑波大学, 医学医療系, 教授 (30302417)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 雄一 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (00251059)
後藤 行延 筑波大学, 医学医療系, 講師 (20451700)
揚山 直英 独立行政法人医薬基盤研究所, その他部局等, 研究員 (50399458)
榊原 謙 筑波大学, 医学医療系, 教授 (60192085)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | TFPI / 外因系凝固 / 体外循環 / 霊長類 / アンチトロンビン / トロンボモジュリン / ヘパリン |
Research Abstract |
体外循環が惹起する凝固線溶・炎症の亢進とこれに伴う臓器障害を抑止すべく、ヘパリンに代わる新たな抗凝固手段の開発を目指した。内因性TFPI誘導による組織因子阻害に、アンチトロンビンとトロンボモジュリン添加によるトロンビン産生・活性阻害を組み合わせ、外因系・接触-内因系2方面からの徹底した凝固線溶および炎症の制御を試みた。体外循環が惹起する主要凝固系路と目される外因系の遮断と、アンチトロンビン・トロンボモジュリンによる接触-内因系路の要所の阻害および生理的thrombin-antithrombin相互作用バランスの維持により、凝固線溶・炎症の亢進を初期段階で強力にブロックする革新的な抗凝固法を確立し、体外循環の安全性向上に寄与することを目的とした。前年度と同様、カニクイザルを用いた体外循環モデルにおいて、手術前ヘパリン予備投与による内因性TFPI誘導とアンチトロンビン、トロンボモジュリン添加を併用し、凝固線溶・炎症関連マーカーの変化を観察した。体重5kg前後のカニクイザルに人工心肺を装着し、120分間の軽度低体温体外循環を行い4群を比較した。[コントロール群]、[内因性TFPI誘導群]、[内因性TFPI誘導+アンチトロンビン群]、[内因性TFPI誘導+アンチトロンビン+トロンボモジュリン群]。4群において経時的に以下のマーカーを測定した:トロンビン産生に関する血中TAT、F1.2、D-dimer。血小板機能としてADP凝集能、出血時間、microparticleとGMP-140。炎症のマーカーとして好中球接着分子CD11b/L-selectin、好中球エラスターゼ、好中球細胞骨格F-actin。血中total TFPI、antithrombin III、thrombomodulin、可溶性組織因子。前年度までの結果と合わせ、概ね期待通りの凝固・炎症抑制が果たされている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年前の東日本大震災の影響で霊長類医科学研究センターの研究環境が被害を受け、また節電の必要もあって実験開始が当初半年遅れた。このため昨年度までは予定された実験頭数に至っていなかったが、最終年度は遅れを取り戻し研究結果は順調に蓄積された。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究は、へパリンに依存したままの現行の抗凝固戦略から脱皮し、生理的プロテアーゼ阻害タンパクの特性を最大限に活用した外因系・接触-内因系2方向からのかつてない強力な凝固線溶・炎症機転制御手段を探求するための実験研究である。体外循環技術の安全性 を高める可能性と意義を有し、仮説に則った一定の結果が得られた。2編の論文がacceptされ、さらに総括的論文を作成中である。
|
Research Products
(2 results)