2012 Fiscal Year Annual Research Report
肺移植臨床応用をめざした心停止ドナー肺の体外循環装置による肺傷害修復
Project/Area Number |
23390333
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊達 洋至 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60252962)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 薫 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10267164)
板東 徹 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20293954)
阪井 宏彰 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (50362489)
陳 豊史 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00452334)
佐藤 寿彦 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40388822)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 心停止ドナー / 肺灌流 / 低温EVLP / 冷保存 |
Research Abstract |
日本における脳死ドナー不足は、臓器移植法が改正された後も続いている。心停止ドナーからの肺移植が可能となれば、多くの患者の救命につながる。体外循環装置を用いた肺還流(Ex-vivo lung perfusion = EVLP)は、ドナー肺機能を移植前に評価できるだけでなく、摘出時にすでに存在する傷害を修復する可能性を持っている。つまり、EVLPにより、必要な酸素・栄養・エネルギーの供給、微小血栓の溶解、間質に貯留した水分の除去、無気肺の改善、などが可能と思われる。そこで、心停止ドナーから摘出した動物肺を体外で還流し、温虚血による傷害を修復することにより、心停止ドナーからの肺移植臨床応用をめざすことを目的に実験を行った。平成23年度は、ビーグル犬を使用して、常温でのEVLPの有用性が証明された。そこで、平成24年度は、ラット肺を使用して、低温EVLPの有用性を検討した。平成25年度に、ビーグル犬を使用して、低温EVLPの有用性を検討する前段階の実験である。 平成24年度の実験群と実験方法は低温EVLPと、現在広く臨床で使用されている冷保存法を比較するために、以下の3群を比較検討した。当初は、大動物を使用する予定であったが、まずラット肺でその効果を確かめることした。つまり平成25年度に、ビーグル犬を使用して低温EVLPの有用性を検討する前段階の実験として位置づけた。 コントロール群 (n = 6) 虚血のない群 低温EVLP群 (n = 6) 心停止90分後に摘出したドナー肺を低温EVLPで60分間還流し、120分冷保存を行う。 冷保存群 (n = 6) 心停止90分後に摘出したドナー肺を180分間例保存する。その後、ドナー肺を60分間還流して、機能評価を行った。実験結果:低温EVLPは、肺組織内のエネルギーレベルを増加させ、例保存群よりも良好な肺機能を維持した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定は、平成23年度に続き、24年度の大動物を使用する予定だったが、まず、低温EVLPの有用性を検討するために、ラット肺灌流モデルを使用した。低温EVLPが現在臨床で広く使用されている冷保存法よりも有効であることが、肺組織エネルギーレベルおよび肺機能の点から証明された。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度はラット肺灌流モデルで、低温EVLPの有効性が証明された。平成25年度は、より臨床肺移植に近い大動脈モデルを使用する予定である。つまり、ビーグル犬左肺移植モデルを使用して、低温EVLPの有効性を検討する。
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