2012 Fiscal Year Annual Research Report
肺移植後の拒絶反応抑制の治療方法の開発-IL-6増幅回路の遮断を用いた治療戦略-
Project/Area Number |
23390334
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
奥村 明之進 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40252647)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南 正人 大阪大学, 医学部附属病院, 准教授 (10240847)
井上 匡美 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10379232)
澤端 章好 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50403184)
中桐 伴行 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70528710)
新谷 康 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90572983)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 肺移植 / 慢性拒絶反応 / 閉塞性細気管支炎 / IL-6 / Stat3 |
Research Abstract |
肺移植後の拒絶反応は閉塞性細気管支炎(BO)という形態で発症することが知られている。我々は、マウスの肺移植動物実験と、ヒトにおける臨床肺移植後の生検検体を用いて、Th17細胞がBOの発症に関与していることを既に明らかにしてきた。 Th17細胞の分化にはIL-6が関与している。炎症で繊維芽細胞などが分泌するIL-6によりTh17細胞が誘導されると、そのTh17細胞がさらにIL-6を産生し、Th17細胞の分化が一層促進されるというIL-6 増幅回路が働くことも知られており、このIL-6増幅回路がBOの確立に関与していることを我々は明らかにした。 IL-6 receptorから細胞内へのシグナル伝達はJAK2/STAT3 が介在し、Th17細胞分化はIκBζが関与している。STAT3は亜鉛によりconformation に変化が生じ、機能が抑制されることが知られている。我々は、3000ppmの亜鉛を含む飲み水を経口投与したマウスをレシピエントとして移植を行ったところ、慢性拒絶が軽減されることを明らかにした。 さらに、BO病変部分では1型コラーゲンを発現する上皮細胞がIL-6とリン酸化STAT3を発現していることを確認した。IL-6 増幅回路により発現するケモカインとして CCL2が既に知られており、BO病変部分では1型コラーゲンを発現する上皮細胞がCCL2を発現することも確認された。さらに、1型コラーゲンを発現する上皮細胞の活性化にはEGF receptor のシグナルが関与することも確認された。以上より、BOの発症におけるIL-6 増幅回路の発現にはEGFの関与も予測される。 昨年度の研究結果を進めて、L-6 増幅経路の抑制を通じて、Th17細胞分化を抑制し肺移植後の慢性拒絶を克服するための新しい治療方法を開発するための基礎的研究をを進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
IL-6増幅回路を抑制することにより、肺移植後の慢性拒絶が抑制されることを証明し、さらにその抑制方法も明らかにしている。 研究実績の概要で記した研究結果の一部を既に英文論文として発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の研究により示された亜鉛による慢性拒絶の軽減の機序をより確固たるものにするため、このモデルにおける肺グラフト内のTh17細胞の分布とSTAT3のリン酸化の有無を評価し、そのシグナルの下流の遺伝子の現が抑制されているかどうかもRT-PCR法により解析する。 また、BOの発症におけるIL-6 増幅回路の発現にはEGFの関与が示唆されたため、EGF receptor を介するシグナルの抑制もBOの予防につながるかどうかを検討する。EGFのシグナルを遮断するための方法として、EGF receptor に対するモノクローナル抗体を用いて検証する予定である。
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Research Products
(2 results)