2011 Fiscal Year Annual Research Report
自己骨髄由来幹細胞を用いた心血管再生における新たな治療戦略
Project/Area Number |
23390336
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
濱野 公一 山口大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60263787)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森景 則保 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (50335741)
李 桃生 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (50379997)
久保 正幸 山口大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (60420519)
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Keywords | 血管再生治療 / 低酸素プレコンディショニング / 骨髄由来細胞 / 再生医療 |
Research Abstract |
これまでの臨床試験で自己骨髄由来幹細胞を用いた心血管再生治療の効果は限定的であり、患者による効果の違いも認められていた。そこで、治療効果を向上させる方策の開発が不可欠であり、我々は移植細胞に対する低酸素プレコンディショニングの有用性について、健常動物を用いた検討で明らかとしてきた。本研究では、低酸素プレコンディショニングの臨床応用を目指して、さらなるトランスレーショナルリサーチを行い、その有用性と安全性を立証することを目的とした。 平成23年度は、加齢動物の骨髄細胞や健常者由来の末梢血単核球を用いて、低酸素プレコンディショニングの効果を検討した。 加齢動物の骨髄細胞に対する低酸素プレコンディショニングによって、細胞生存や細胞接着が増強した。また、血管再生因子VEGFの産生増大や内皮分化能についても増強効果が認められた。さらに、低酸素プレコンディショニング後の細胞を虚血下肢筋肉に移植して血流量を測定すると、血流量が増大しており、血管再生治療の効果が向上することも示された。健常者由来の末梢血単核球を用いたin vitroでの検討では、低酸素プレコンディショニングによって生存や接着といった細胞機能が増強することが確認された。さらに、細胞移植による治療効果とその安全性に関する解析を行うために、SCIDマウスの虚血下肢筋肉に移植を行った。 これまでの結果から、低酸素プレコンディショニングの有用性が示されている。本研究の遂行によって、さらなる有用性および安全性の立証がなされるものと期待できる。臨床応用につながることも期待でき、本研究の意義は高いと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
低酸素プレコンディショニングの有用性に関する検討は、概ね順調に進捗しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト由来細胞をSCIDマウスの虚血下肢筋肉に移植することで、低酸素プレコンディショニングの有用性と安全性に関する検討を行う。また、大動物での検討も行う予定である。
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