2012 Fiscal Year Annual Research Report
自己骨髄由来幹細胞を用いた心血管再生における新たな治療戦略
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23390336
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
濱野 公一 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60263787)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森景 則保 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (50335741)
李 桃生 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (50379997)
久保 正幸 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60420519)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 低酸素プレコンディショニング |
Research Abstract |
本年度は、まず低酸素プレコンディショニングによって健常者の末梢血単核球細胞(PBMNCs) が機能増強されているか否かについて細胞接着性、血管新生因子VEGFの産生能、酸化ストレス抵抗性を指標として検討した。その結果、低酸素プレコンディショニング によって細胞接着能の増大やVEGF産出量の増加が認められた。さらに、低酸素プレコンディショニング処理した後に過酸化水素処理を行い、酸化ストレス抵抗性を検討したところ、低酸素処理群ではReactive Oxygen Species (ROS) 産出量の低下および細胞生存率の上昇が認められた。 以上の結果より、低酸素プレコンディショニング によってPBMNCsの機能増強が誘導されることが明らかとなった。 さらに自家移植による低酸素プレコンディショニング法の有用性を検討するため、我々は中型動物(ウサギ)の静脈血よりヒトと同様の方法でPBMNCsを単離し、低酸素処理後に虚血されたウサギ下肢へ移植した。PBMNCs単離は虚血処理6日後に行い、24時間の低酸素処理後に虚血部位に移植した。(PBMNCsの虚血部位への移植は虚血誘導7日後となる。)細胞移植前後の血流量の変化をレーザードップラー法により経時的に測定した。測定ポイントは、虚血誘導前、虚血誘導直後、虚血誘導7日後、虚血誘導21日後(PBMNCsの虚血部位への移植14日後)とした。その結果、低酸素処理をしたPBMNCsを移植した群において、移植14日後に血流量の増大が認められた。この結果から、低酸素処理によって機能増強したPBMNCsによって血流の回復が誘導されたと考えられる。 これらの知見は、重症虚血下肢疾患患者を対象とした細胞移植における低酸素プレコンディショニング効果を検討する上で、予備データとなり得ると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
臨床試験として重症虚血下肢疾患患者を対象とした骨髄由来幹細胞移植を行う予定であるが、承認が下りず、代用となる実験を行うのに留まったため。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床試験を念頭に研究を進める一方、承認が得られない場合を想定して中型動物(ラビット)を用いた下肢虚血モデルでの検討をさらに詳細に進めていく予定である。
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Research Products
(1 results)