2011 Fiscal Year Annual Research Report
ドナー臓器保護作用に基づく大動物移植肺生着延長戦略-同種移植から異種移植への展開
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23390337
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
佐原 寿史 鹿児島大学, フロンティアサイエンス研究推進センター, 特任准教授 (90452333)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 和彦 鹿児島大学, フロンティアサイエンス研究推進センター, 教授 (40241103)
長嶋 比呂志 明治大学, 農学部, 教授 (50318664)
伊達 洋至 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60252962)
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Keywords | 異種肺移植 / 急性期肺機能不全 / CalT-KOブタ / Ex-vivo灌流 / カニクイザル / 血小板 / 肺血管抵抗 |
Research Abstract |
目的1:異種肺移植の急性期機能不全を克服するため、Ex-vivo異種肺移植による評価方法を確立し、他臓器で超急性拒絶反応の回避を可能とするGalT-KOブタの異種肺移植での効果評価実験に着手した。 方法:摘出心肺ブロックを体外循環回路に接続し、ブタ/ヒト血液を用いて灌流を開始後、段階的に灌流量を増やし、1)Group1(n=3):通常のブタ肺を自己ブタ血液で灌流、2)Group2(n=2):通常のブタ肺をヒト血液で灌流、3)Group3(n=2):GalT-KO肺を異種ヒト血液で灌流する各群で、生理機能(肺動脈圧、酸素化能等)、血液学的(血算、凝固・線溶系因子等)、病理学的に灌流肺を評価した。なお使用回路の変更に伴い、共同研究者施設においてEx-vivo灌流再設定としてビーグル犬を用いた実験を行い、本実験の基礎データとして活用した。 結果:Group1では軽度な肺血管抵抗上昇(灌流前25%上昇)のみで安定した灌流が可能であったが、Group2では、灌流量の増加に伴い肺血管抵抗上昇が進行し、開始60分以内に100%以上の上昇となった。Group3では、灌流開始30分で30%の肺血管抵抗上昇を認めたもののその後の上昇は緩徐であった。Group2での灌流60分での著名な血小板数減少に比べ(灌流前値の14%)、Group3では前値の50%減少に留まった。病理・免疫組織検査ではGroup2で生じた顕著な肺胞内出血、血栓形成、好中球浸潤がGroup3では著明に減少し、IgMや補体沈着も軽度であった。 このように、GalT-KO肺が急性期肺機能不全を回避しうることを大動物Ex-vivo肺移植モデル実験により示した。並行して目的2、3となるカニクイザルを用いた左同所性肺移植モデルでの実験を開始し、Ex-vivo実験の有用性や異種移植肺の早期機能不全の原因因子と対策を明確にする実験に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的1となる、異種肺移植の急性期機能不全を克服するためのEx-vivo異種肺移植による評価方法を確立することによって、GalT-KO肺が急性期肺機能不全を回避しうることを示すことができ、次年度以降の目的である、「血管内皮障害を契機とする異種移植肺特有の異常凝固・炎症を制御する治療法の確立」というステップへ移行するための大きな基礎実験データを得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、このex-vivoモデルをもとにして、異種移植肺の急性期機能不全を防ぐ治療方法の確立にうつり、特に一酸化炭素、HMGB1、可溶性トロンボモデュリン等、これまでの実験で効果が期待される薬物を体外循環中に投与することによる治療効果の検討を行う(目的2)。また、本実験の最終目的であるin vivo異種肺移植実験における治療法の確立というステップへ確実に進むため、カニクイザルを用いた同種および異種移植実験を積極的に推進する(目的3)。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Autoimmune sensitization to cardiac myosin leads to acute rejection of cardiac allografts in miniature swine2011
Author(s)
Veillette GR, Sahara H, Meltzer AJ, Weiss MJ, Iwamoto y Kim KM, Rosengard BR, Allan JS, Houser SL, Sachs DH, Benichou G, Madsen JC
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Journal Title
Transplantation
Volume: 91(11)
Pages: 1187-1191
DOI
Peer Reviewed
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