2012 Fiscal Year Annual Research Report
細胞を要さない再生血管用医材の開発とその適応拡大、および臨床応用
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23390339
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
松村 剛毅 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (20297469)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 健二 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (30241087)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 再生医療 / ティッシュエンジニアリング / 医療材料 / 生体吸収性素材 / 先天性心疾患 / 再生血管 / トランスレーショナルリサーチ / 生体適合性 |
Research Abstract |
これまで、心臓血管外科、特に小児心臓血管外科領域における理想的な補填材料の開発を行ってきた。完全自己組織化した再生血管をin vivoにおいて作成するために生体吸収性素材を用いる手法で実験を行ってきた。自己再生血管は長期にわたる生体適合性、成長能、移植後の再手術回避の点においては理想的ではあるが、確実性と臨床応用時での安全性の点においては未だ研究の余地がある。細胞等を用いることなく素材のみで再生血管を作成する技術を開発したが、未だ静脈位のみでの使用に限られたものとなっている。そこで、本研究では素材の静脈位以外での適応拡大を模索すること、素材の長さや径を拡大することにより、より臨床応用に適した条件の模索すること、安全性試験の追試を行うことで臨床研究への礎を築くことを目的とした。 本研究の2年目の成果としては、1.再生血管の素材の強度を失うまでの埋稙後短期間における強度が至適であることを証明し、生力学的安全性を確認し、さらに動物実験における測定数を増やすことでデータの信頼性を上げたこと、2.5cmまでの長尺グラフトでの実験モデルにおいて2年に及ぶ長期遠隔期における開存度を確認しえたこと。3.PMDAとの話し合いにより、臨床治験準備段階に入った点、4.肺動脈分枝レベルでの再生血管の作成が可能であることを実験的に証明し、1年の遠隔データを示した、などがあげられる。 今後は、肺動脈部位における組織形成の追跡、さらなる遠隔データの蓄積、臨床治験に向けた基礎実験の継続を行う予定である。なお、適材適所に素材の改変が求められる可能性も十二分にあり、素材の基礎研究も継続していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
下大静脈部位での再生血管の作成の遠隔期の成績が比較的良好であること。安全性試験等が、終了したこと。医薬品医療器機総合機構との開発前相談において、フォンタン手術用に限定してではあるものの、本素材の臨床研究(治験)に向けた準備に入ることの許可を頂いている。本年度は、院内の治験体制を含めプロトコールの作成を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
静脈位でより長尺のグラフトの短期における組織形成の確認および形成過程の検討を行う。これらは、臨床応用にあたり重要なデータとなるからである。また、肺動脈位での埋稙実験の継続および基礎データの収集(組織学的評価、導管機能の追跡、素材の条件の模索)を行っていく。 さらにこれらのデータをもとに臨床応用の準備段階として、医薬品医療機器総合機構へ治験前相談に行き、治験デザインの最終確認に入っていく予定である。
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