2012 Fiscal Year Annual Research Report
脳電気刺激で誘導されるミトコンドリア蛋白UCP4による虚血耐性の検討とその応用
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23390345
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
山本 清二 浜松医科大学, メディカルフォトニクス研究センター, 教授 (60144094)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 脳神経疾患 / 神経科学 / 虚血耐性 / 神経保護 / 共焦点顕微鏡 |
Research Abstract |
【目的】平成24年度交付申請時の目標に従い以下を検討した。 a) 脳電気刺激によりUCP-4 発現が誘導されるメカニズムは何か:UCP-4が発現すると赤色蛍光も同時に発現するレポーターベクターを発現させた培養ニューロ2A(N2A)細胞(神経芽細胞)において:A) H2O2投与によるUCP-4発現の有無;B) 3ニトロプロピオン酸(3NPA、succinate dehydrogenase阻害剤)による化学的低酸素状態における耐性獲得のメカニズムとしてUCP-4発現が見られるか否か、を検討する。 b) UCP-4 発現による神経細胞の虚血耐性のメカニズムは何か:A) 培養大脳皮質神経細胞にKATP-channel openerによりUCP-4発現を誘導し、興奮性細胞死におけるカルシウム反応等を確認する。 【結果】a-A) H2O2(300μm)投与ではUCP-4は発現しない。a-B) 3NPA(15 mM)により24時間後に88.6%が細胞死に至るが、sublethal な 3NPA (1mM、5mM、2時間暴露)では24時間後にUCP4が発現し3NPA(15 mM)による細胞死を減らし低酸素耐性を獲得する。ミトコンドリアの活性酸素発生で下流にあるH2O2ではUCP-4が発現せずUCP-4発現にはO2-が重要といえる。低濃度3NPAによる低酸素耐性を獲得でもUCP4は重要でO2-が関与していると推察される。b-A) 培養大脳皮質神経細胞にLipofection法によりUCP-4発現レポーターベクターを発現させ観察したが、神経細胞が脆弱で48時間まで観察することはできず、神経細胞の虚血耐性メカニズムの検討に至らなかった。次年度は神経細胞のvitalityを保てるベクター発現法を試みるが、うまく行かない場合には3NPA低酸素耐性獲得N2A細胞を用いて虚血耐性のメカニズムを検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
培養大脳皮質神経細胞にLipofection法によりUCP-4発現レポーターベクターを発現させ観察したが、神経細胞が脆弱で48時間まで観察することはできず、UCP-4が確実に発現した神経細胞を使って虚血耐性メカニズムの検討するに至らなかったから「やや遅れている」と自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、培養大脳皮質神経細胞にUCP-4レポーターベクターを発現させ、かつ神経細胞を安定して48時間まで培養顕微鏡で観察する系を確立する。そのため今後神経細胞に負荷をかけないtransfection法を工夫する必要があり、培養液中にラジカルスカベンジャー等を添加して検討する。もし神経細胞のvitalityを保てるベクター発現法が不成功に終わる場合には、3NPA低酸素耐性獲得N2A細胞を用いて虚血耐性のメカニズムを検討する。 平成25年度(3年目)は、光学的イメージング法により以下を明らかにする。 a) KATP-channel openingにより、培養大脳神経細胞にUCP-4が発現するか;b) UCP-4が発現した培養大脳神経細胞では、化学的低酸素または過剰グルタミン酸刺激により耐性があるか;c) UCP-4が発現した培養大脳神経細胞では、b)の状態でカルシウム流入が抑制されているか;d) UCP-4が発現した培養大脳神経細胞では、b)の状態でヒドロキシラジカルの産生が抑制されているか;e) ラット三叉神経第1枝の電気刺激で大脳神経細胞にUCP-4が発現するか。
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