2011 Fiscal Year Annual Research Report
グリオーマ幹細胞特異抗体を付加した薬物内包ミセルによる新規治療法の開発
Project/Area Number |
23390351
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
倉津 純一 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 教授 (20145296)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 英夫 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (30359963)
牧野 敬史 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (90381011)
秀 拓一郎 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (40421820)
荒木 令江 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 准教授 (80253722)
松村 保宏 独立行政法人国立がんセンター, がん治療開発部, 部長 (90209619)
|
Keywords | グリオーマ癌幹細胞(GSC) / 薬剤内包ミセル / GSC特異的抗体 / ヌードマウス / GSC移植 / 動物実験モデル / ラジオアイソトープ |
Research Abstract |
本研究は、放射線治療および化学療法に抵抗性を示すグリオーマ癌幹細胞(Glioma Stem cell,以下GSCと示す)に効果的な治療法の開発を目的としており、われわれはこれに対してGSC特異的抗体を付加した薬剤ミセルによる方法を選択した。当該年度において、薬剤ミセルに付加する抗体として最も適したGSC特異的分子を選択するための実験をおこなった。GSCに特異的な分子の候補がいくつか同定でき、発現などを検討したところGSCに特異的に高発現が認められた。しかし、特異的分子を抗体で認識させるときは、その分子が細胞内であっても、細胞表面であっても特に問題はなかったが抗体に薬剤内包ミセルを付加した場合は、細胞内の分子は抗体が認識しにくいということが明らかになった。このため、細胞表面に存在するレセプターや表面マーカーなどの分子を認識する抗体を選択する必要があることが分かった。次に薬剤内包ミセルの効果を確認するための動物実験モデルを検討している。我々は、GSCを手術サンプルから幹細胞培養条件で初代培養し、それらをヌードマウスの脳に移植すれば、安定して腫瘍が増大できる条件(腫瘍細胞の数や培養条件、マウスの状態など)を確立しており、このシステムを動物実験として応用する予定である。ヌードマウスに投与されたGSC特異的抗体を付加した薬剤内包ミセルが、GSCを認識し、腫瘍まで到達できたかどうかを確認する方法を現在検討中でありラジオアイソトープを使用する予定にしている。薬剤内包ミセルにラジオアイソトープを付加し、ヌードマウスに投与したとき、それらが腫瘍だけに集積できればシステムが良好に機能していると考えられる。 当該年度においては、いろいろなシステム作りが中心であった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度はシステム作りが中心であったが、グリオーマ幹細胞(GSC)に特異的な分子がいくつか同定できたものの、それを特異的に認識する質の良い抗体の作成が比較的困難である。GSC特異的であっても抗体ができなかったり、抗体ができてもGSCを特異的に認識しなかったりしている。GSC特異的分子と抗体の作成は、本プロジェクトの根幹の部分であるので慎重におこなっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究での最も重要な部分を占めるグリオーマ幹細胞(GSC)特異的分子の選択とそれを認識する実用可能な抗体の作成に手間取っている部分がある。しかし、この部分は本プロジェクトの根幹の部分であり、慎重にならざるを得ない。本研究の今後の推進方策としては、同時に動物実験モデルのシステム作りを同時に開始し、GSC特異的抗体を付加した薬剤ミセルが完成し次第、動物実験を即座に行えるような準備を考慮している。
|
Research Products
(7 results)