2011 Fiscal Year Annual Research Report
神経再生医療を目指した多能性組織幹細胞の単離と神経分化ペプチドによる神経分化誘導
Project/Area Number |
23390353
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
菅野 洋 横浜市立大学, 医学研究科, 客員准教授 (40244496)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 知行 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (30170517)
水木 信久 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (90336579)
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Keywords | 神経再生医療 / 機能性ペプチド / BCボックスモチーフ / 多能性組織幹細胞 / 神経分化 |
Research Abstract |
本研究においては、まず、多能性組織幹細胞の単離を目的とした。そこで出澤らが報告した、多能性組幹細胞であるトリプシン抵抗性のMuse細胞の単離を行うために、Auto MACS装置を購入して、SSEA-3抗体陽性の多能性組織幹細胞の分離を試みた。しかしながら、Muse細胞の分離は考えていたよりも困難であったため、従来より使用していた多能性組織幹細胞である皮膚組織由来幹細胞をこの研究で用いた。蛋白導入ドメインを結合して合成した神経分化ドメインからなる10種類のBCボックスモチーフ構造の機能性ペプチド(SOCS1-7,ASB3,WSB2,LRR1,VHL)を皮膚組織由来幹細胞へ導入した。これらの機能性ペプチドはあらかじめ神経分化誘導活性を有することは検討ずみであった。ただ、興味深いことに用いた10種類の機能性ペプチドは、分化誘導するニューロンのタイプが異なることを見出した。例えばVHL由来の機能性ペプチドは、主に中脳のドーパミンニューロンを分化誘導するだけでなく、網膜の色素神経細胞の蛋白であるロドプシン陽性細胞を分化誘導することが判明した。また、SOCS4とSOCS7由来の機能性ペプチドは、分化誘導が難しいとされるコリンアセチルトランスフェラーゼ陽性のモーターニューロンを分化誘導することが判明した。これらの結果は、蛍光免疫染色とウエスタンブロットの結果より得られたものである。このメカニズムに関しては、BCボックスモーフのペプチドがelongin BCとelongin Aと拮抗阻害することとアストロサイトへの分化に重要なStat3をユビキチン/プロテアソーム系を通じて分解されること、さらにアストロサイトへの分化に必須のGFAPのプロモーターをメチル化することでニューロンへの分化が誘導されるものと考えられるが、VHLの場合はStat3がユビキチン/プロテアソーム系の基質であると考えられるが、その他のBCボックスモチーフペプチドでは、Stat3以外のStatの別の種類であり、このために分化誘導されるニューロンのタイプが異なるのではないかと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
東日本大震災の影響から、科学研究費補助金の支給が遅れ、必要な物品が購入できず、研究が施行でなかったため、計画してた研究が順調に進まなかった。ただ、10月以降に支給されてからはやや回復したものの、当初の計画通りには進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画は大幅に変更する必要はなく、研究課題申請書に記載通りに進めれば問題ないと思われる。ただ、現在の職種が申請時と異なってきており、研究内容にも若干違いが生じて分担研究者も24年度からは変更することにした。今後は東工大の分担研究者(特任准教授)と共に研究を進めてゆくことになる。研究を遂行する上では、大型動物を再生医療の実験に使用できることになるメリットが大きいと考えている。
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Research Products
(4 results)