2012 Fiscal Year Annual Research Report
神経再生医療を目指した多能性組織幹細胞の単離と神経分化ペプチドによる神経分化誘導
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23390353
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
菅野 洋 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員准教授 (40244496)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 典彦 東京工業大学, 学内共同利用施設等, 特任准教授 (80264654)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 多能性幹細胞 / 神経分化誘導 / 神経分化ペプチド / 神経分化ドメイン / モーターニューロン / ドーパミンニューロン |
Research Abstract |
I①幹細胞の神経分化ドメインの同定:幹細胞の神経分化ドメインをBCボックスモチーフのアミノ酸配列を含む蛋白群において同定するため、BCボックスモチーフを含む蛋白群を全蛋白質の中から同定し、そのアミノ酸配列を明らかにした。②ペプチド合成:神経分化ドメインペプチドに蛋白導入ドメイン(PTD)を結合したペプチドを合成し、この際に蛋白導入ドメイン(PTD)のペプチドを結合し、細胞膜透過性の形状に合成した。③各種幹細胞の分離・培養:幹細胞は、神経幹細胞、皮膚由来幹細胞、脂肪幹細胞を用いた。これらについて神経分化ドメインペプチドによる神経分化誘導活性を検討した。④幹細胞の神経分化誘導 :上記の幹細胞に対して、培地中に蛋白導入ドメイン(PTD)を結合した神経分化ドメインのペプチドを添加し、神経突起の伸長を形態学的に観察した。また、ニューロンマーカーの発現を蛍光免疫染色を行い、ウエスタンブロット法にて検討した。更に、ニューロンのサブタイプに関してどのタイプのニューロンへ分化するか解析し、SOCS5由来のペプチドではアセチルコリン陽性のモーターニューロンに、VHL由来のペプチドは主にドーパミンニューロンへ分化誘導された。⑤神経分化ドメインの関わる神経分化誘導メカニズムの解明:神経分化ドメインペプチドを導入した幹細胞内で引き起こされる反応を明かにし、神経分化ドメインの関わる神経分化誘導のメカニズムを次の2点を中心に一部を解明した。 i)神経分化ドメインペプチドの細胞内導入後のStat3の発現抑制と神経分化メカニズムの関係の検討した。 ii)神経分化ドメインペプチドを導入した幹細胞をドナー細胞とした神経再生医療の開発: 特にヒト皮膚組織由来幹細胞をドナー細胞として、ラットの脳内に移植して神経の再生が得られるかを検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの研究の達成度は、目標の約7割程度で順調に推移していると考えられる。様々なBCボックス蛋白由来のペプチドにより異なる種類のニューロンが誘導されたことは、新たな成果であった。この神経分化誘導のメカニズムに関しては、更に検討が必要であると考えられるが、STAT3の抑制が関与していることは明らかとなった。現在、この研究をまとめた論文を執筆中であり、それをもって目標が達成されるものと考えている。、
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Strategy for Future Research Activity |
今回の研究において、様々な種類のBCボックス蛋白由来のペプチドから異なる種類のニューロンが分化誘導できたが、わずかなアミノ酸配列の違いでなぜそのように異なる種類のニューロンが分化誘導できたかは不明である。また、根本的にBCボックス蛋白由来のペプチドがな多能性幹細胞を分化誘導するのか、それはSTAT3の抑制というだけでよいのかについてはまだ分かっておらず、今後検討してゆく予定である。
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Research Products
(5 results)