2011 Fiscal Year Annual Research Report
下部尿路機能障害における求心性伝達機構と新たな治療法の開発に関する研究
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23390381
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
武田 正之 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (80197318)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
座光寺 秀典 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助教 (60345717)
小林 英樹 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助教 (50402053)
澤田 智史 山梨大学, 医学部附属病院, 助教 (70402055)
望月 勉 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 医学研究員 (50377496)
芳山 充晴 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 医学研究員 (20422694)
荒木 勇雄 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (50252424)
富永 真琴 大学共同利用機関法人自然科学研究機構, 教授 (90260041)
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Keywords | VNUT / ATP / Piezo1 / メカノセンサー / 膀胱 / 尿路上皮 |
Research Abstract |
1.本研究に先立って、特に尿路上皮に発現するイオンチャネルであるTRPイオンチャネルファミリーのなかでもTRPV4が伸展刺激に対して強く反応し、さらに求心性伝達機構に重要と考えられるATPの分泌に関与することを証明した。 2.ついで、本研究では、ATPの分泌機構のなかで、VNUTの意義について検討した。また、臨床検体を用いてこれらの分子の発現程度と臨床データとの関連を調べた。 3.Piezo1はマウス膀胱に発現していることが報告された。そこで我々は、マウス膀胱における新たなmechanically activated cation channelの候補であるPiezo1の発現とその局在、機械伸展刺激に対する機能について調べた。膀胱全組織標本では上皮にPiezo1の発現を認め、上皮培養細胞においても発現を確認した。KD(knock-down)法により、Piezo1遺伝子は約34%に抑制された。膀胱上皮培養細胞を用いた伸展刺激実験において、control群は細胞内Ca2+濃度の上昇が見られるが、KD群では細胞内Ca2+濃度の上昇は有意に減弱することが示された。またPiezo1阻害薬(非特異的MSc阻害薬)であるGsMTX4処置下でも、細胞内Ca2+濃度の上昇は有意に減弱した。細胞外ATP放出量解析でも、control群に比べ各群の放出量は低下した。膀胱上皮にはPiezo1が発現しており、伸展刺激に応答して細胞内Ca2+濃度調節を行い、情報伝達物質であるATP放出に関与することを実証した。 4.以上の研究結果から、Piezo1は膀胱上皮細胞におけるメカノセンサーとして機能し、求心性シグナル伝達のkey-molecularのひとつであると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
膀胱上皮にメカノセンサーの候補であるTPRイオンチャネル、Piezo1が発現し、伸展刺激によって伝達物質であるATPを産生することを明らかにした。TRPV4刺激によってATPが分泌されるメカニズムにおいて、新しく発見されたVNUTが重要な役割を果たすことを明らかにした。新しく開発したマウス排尿行動実験用の代謝ケージを用いて、TRPV4 K/Oマウス、VNUT K/Oマウスの排尿行動を調べた結果、マウスレベルではこれらの分子が排尿行動に大きな影響を持つことが明らかとなった。ヒト膀胱上皮組織におけるVNUTの発現と尿流動態機能検査データとの相関を認めた。
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Strategy for Future Research Activity |
上記標的分子の機能解析を目標とする。 具体的には、以下のテーマについて研究する。 1.遺伝子組み換え動物を用いた行動解析。 2.ヒト細胞に対する遺伝子ノックダウンによるin vitroの機能解析。 3.CHO細胞に対するヒト遺伝子導入によるin vitroの機能解析。 4.ヒト正常組織・疾患組織における標的分子の発現と臨床データとの相関の検討。
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Research Products
(6 results)