2011 Fiscal Year Annual Research Report
免疫寛容という立場から正常妊娠、異常妊娠を再考する
Project/Area Number |
23390386
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Field |
Obstetrics and gynecology
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
齋藤 滋 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(医学), 教授 (30175351)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀧澤 俊広 日本医科大学, 医学(系)研究科(研究部), 教授 (90271220)
田渕 圭章 富山大学, 生命科学先端研究センター, 准教授 (20322109)
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Keywords | 流産 / 妊娠高血圧症候群 / 制御性T細胞 / 制御性NK細胞 / 妊娠維持機構 / miRNA / 胎盤 / 早産 |
Research Abstract |
異物である胎児を許容するため、制御性T細胞(Treg)が重要であることは知られているが、これまで父親抗原特異的Tregについては十分に検討されてこなかった。我々は独自に父親抗原特異的Treg(PA-Treg)に同定するシステムを構築した。マウスの系において、(1)PA-Tregは着床する前に、すでに子宮の領域リンパ筋に集族していること、(2)着床すると直ちに子宮へ移動すること、(3)精嚢腺除去したマウスでは精漿がないが精子が存在するため妊娠するが、妊娠効率が悪く、PA-Tregが子宮領域リンパ節や妊娠子宮に集族しないことを見い出した。さらにPA-TregにはCCR4、CCR5を高発現することを見い出した。(4)Treg以外に妊娠子宮に増加するCD25+NK細胞が樹状細胞(DC)上のMHC classII抗原発現を減弱させ、MLR反応を減少させることを発見した。流産マウスNK細胞ではstathminlが低下していることを証明した。 ヒトの臨床検体において流産を胎児染色体正常と異常に大別したところ、(1)Tregは胎児染色体正常例で著しく減少していたこと、(2)着床近傍部で特に胎児染色体正常例ではTreg細胞が減少していたことから、免疫異常が正常胎児を流産に陥らせている可能性を示した。(3)また妊娠高血圧腎症(PE)ではトレランスを誘導するgalectin1発現が末梢血T細胞、甑細胞で減少していること、(4)PEではCD25^+Foxp3^+TregもCD25-Foxp3^+Tregも減少すること、(5)PEでは児の性別が女児であることが多いこと、(6)双胎では胎児抗原量が2倍になるためPEのリスクが高まること、(7)PEではNK細胞のgranulysinが増加しTh1型免疫となること、(8)肥満例ではNK細胞、T細胞中のgranulysinが増加してTh1型免疫となっていることを見い出した。つまリヒト流産でも胎児染色体が正常であれば免疫が関与する流産が存在すること、妊娠高血圧腎症では胎児許容機構が破綻していることが明らかとなった。さらにナノシリカが自然免疫を活性化させ、流産・死産、IUGRをきたすこともマウスモデルで明らかにした。(8)分娩前の妊婦の単核球、NK細胞において胎盤特異的miRNAが検出され、分娩後4日目には、これら細胞において検出量が有意に低下または消失し、クリアランスされることがわかった。一方、Treg細胞では、胎盤特異的miRNAの取り込みがほとんど認められなかった。胎盤由来のmiRNAがNK細胞に取り込まれ、その遺伝子制御に関わる可能性を示唆する新知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
マウスの実験で精漿のプライミングが父親抗原特異的トレランスに必要という新知見を得ることができた。またヒトを用いた臨床例においても、胎児染色体正常例流産でのTregの減少や妊娠高血圧腎症でのトレランスの破綻を明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、父親抗原特異的TregとCD25^+NK細胞の純化を行っており、細胞をストックしている。mRNA発現をアレイ解析する目前まで達している。また流産例脱落膜、末梢血からT細胞、NK細胞を分離している状態にある。2~3ヶ月後にはmiRNAの発現パターンを網羅的に行い、胎盤由来のmiRNAが取り込まれていないかを検討する状態にある。またアレー解析の結果から、ヒトにおいても、父親抗原特異的Tfeg細胞を同定するマーカーを本年度中に行ない、臨床評価する予定である。
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Research Products
(51 results)
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[Journal Article] Mitochondria-Targeted Superoxide Dismutase (SOD2) Regulates Radiation Resistance and Radiation Stress Response in HeLa Cells2012
Author(s)
Hosoki A, Yonekura s, Zhao QL, Wei ZL, Takasaki I, Tabuchi Y, Wang LL, Hasuike S, Nomura T, Tachibana A, Hashiguchi K, Yonei S, Kondo T, Zhang-Akiyama QM
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Journal Title
J Radiat Res (Tokyo)
Volume: 53
Pages: 58-71
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Peripheral blood galectin-1-expressing T and natural killer cells in normal pregnancy and preeclampsia2011
Author(s)
Molvarec A, Blois M S, Stenczer B, Toldi G, Tirado-Gonzalez I, Ito M, Shima T, Yoneda S, Vasarhelyi B, Rigo J., Saito S
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Journal Title
Clin.Immunol
Volume: 139
Pages: 48-56
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Silica and titanium dioxide nanoparticles cause pregnancy complications in mice2011
Author(s)
Yamashita K., Yoshioka Y., Higashisaka K., Mimura K., Morishita Y., Nozaki M., Yoshida T., Ogura T., Nabeshi H., Nagano K., Abe Y., Kamada H., Monobe Y., Imazawa T., Aoshima H., Shishido K., Kawai Y., Mayumi T., Tsunoda S., Itoh N., Yoshikawa T., Yanagihara I., Saito S., Tsutsumi Y.
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Journal Title
Nature Nanotechnology
Volume: 6
Pages: 321-328
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Telmisartan Improves Insulin Resistance and Modulates Adipose Tissue Macrophage Polarization in High-Fat-Fed Mice2011
Author(s)
Fujisaka S, Usui I, Kanatani Y, Ikutani M, Takasaki I, Tsuneyama K, Tabuchi Y, Bukhari A, Yamazaki Y, Suzuki H, Senda S, Aminuddin A, Nagai Y, Takatsu K, Kobayashi M, Tobe K
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Journal Title
Endocrinology
Volume: 152
Pages: 1789-1799
DOI
Peer Reviewed
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