2011 Fiscal Year Annual Research Report
内因性免疫によるEBV感染制御機構と上咽頭癌発癌機構に関する研究
Project/Area Number |
23390396
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
吉崎 智一 金沢大学, 医学系, 教授 (70262582)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 寿史 金沢大学, 医学系, 助教 (20547179)
脇坂 尚宏 金沢大学, 附属病院, 講師 (70377414)
近藤 悟 金沢大学, 附属病院, 助教 (70436822)
|
Keywords | 内因性免疫 / 上咽頭癌 / EBV / APOBEC |
Research Abstract |
EBVのレセプターはB細胞表面に発現するCD21である.1990年代の報告ではCD21は上皮,Tリンパ球で発現しないとされる.1994年,申請者も同様の結果を得た.また,CD21陰性である咽頭上皮細胞への感染実験によりウイルス複製誘導による受容体非依存的ウイルス細胞内侵入を報告した.しかし今日,細胞表面抗原解析テクノロジーが飛躍的に進歩し,発現量の少ない蛋白解析が可能となり,過去の通説が次々と刷新されている.また,上気道における内因性免疫発現を調査した研究は皆無である そこで,過去10年に金沢大学病院で同一患者から摘出された口蓋および咽頭扁桃パラフィン標本を用いて,まず口蓋および咽頭扁桃におけるEBV感染細胞と感染様式,さらに,APOBECファミリーのうち村松博士から抗体を供与されたAID,APOBEC3G発現を年代ごとに比較した. 予備実験としてこれらの抗体のパラフィン組織上での免疫組織化学的解析の至適条件の設定を行ったAID,APOBEC3G,に対する免疫組織化学法にてEBV陽性細胞の分画と感染状態,さらにAPOBEC発現を定性的に評価し、咽頭扁桃と口蓋扁桃において明らかな発現パターンの差がないことを判明した。 また、口蓋扁桃,咽頭扁桃いずれにおいてもEBVが感染細胞内で潜伏感染しており,感染細胞と共存する潜伏感染(EBV転写産物EBERs,LMP1が発現)パターンを示す細胞のポピュレーションはまれであった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
23年度は科学研究費の支給額および支給時期について減額もしくは遅延が生じる懸念から,年度当初しばらく予算執行を制限した影響があると推測する。
|
Strategy for Future Research Activity |
来年度はまず今年度施行開始予定であったAPOBECファミリー発現について解析し、速やかにスコア化する.そして,サンプル全体および同一個体での咽頭扁桃・口蓋扁桃のEBV陽性細胞分画ならびにAPOBECファミリー発現の関連性について検討する。 さらにEBV陽性細胞株においてウイルス複製を誘導し、APOBECファミリー発現とウイルス産生に関連性について検討する。
|