2011 Fiscal Year Annual Research Report
小児腎腫瘍に対するリスク分類に基づく標準的治療確立および新規治療開発のための研究
Project/Area Number |
23390405
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福澤 正洋 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (60165272)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大植 孝治 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (50314315)
金子 安比古 埼玉県立がんセンター, 臨床腫瘍研究所, 研究所所長 (50373387)
野崎 美和子 獨協医科大学, 医学部, 教授 (30197727)
大喜多 肇 独立行政法人国立成育医療研究センター, 小児血液・腫瘍研究部分子病理研究室, 室長 (50317260)
樋之津 史郎 京都大学, 医学研究科, 准教授 (80323567)
|
Keywords | 小児腎腫瘍 / リスク分類 / 標準的治療 / 集学的治療 / Wilms腫瘍 |
Research Abstract |
1.Wilms腫瘍および小児腎腫瘍における癌関連遺伝子メチル化分析:日本Wilms腫瘍スタディグループ(JWiTS)に登録された腫瘍84例を対象に、3つのがん抑制遺伝子(RASSF1A,DCR2,CASPASE8)の定性的メチル化解析を行った結果、RASS1Aは最もメチル化の頻度が高かった。そこで腎芽腫171例を対象に、より感度が高く定量的なquantitative MSPを施行してIUSSF1Aのメチル化率による腎芽腫症例の層別化を行い生存率を比較したところ、高メチル化群は低メチル化群に比して有意に予後不良であった。またメチル化率は進行症例で有意に頻度が高く、RASS1A高メチル化は腎芽腫の予後を予測する新たな分子マーカーになり得ると考えられた。 2.RTK及び両側性腎芽腫に対する治療プロトコールの作成:腎ラプドイド腫瘍(RTK)の予後は極めて悪く、より強力な治療プロトコールの作成が急務である。過去の治療経験より、VCR,DOX,CY,IFM,VPI6などの薬剤と放射線治療を組み合わせ、RTKに対する従来よりも強力な新規治療プロトコールを作成した。現在倫理審査を行っており、審査終了後このプロトコールを用いて全国にて他施設臨床研究を開始する予定である。 3.両側性腎芽腫に対するプロトコールの作成:両側性腎芽腫に関しては、生存率は改善したが、生存例の中で腎機能を温存できず透析や腎移植を必要とする症例が少なからず存在する。そこで、腎機能温存の観点からまず化学療法を行い、腫瘍を縮小せしめたのちに腎機能を温存しつつ腫瘍を摘出する方針で、両側性腎芽腫に対する新規治療プロトコールを作成中である。また術前化学療法による腫瘍の縮小を客観的に評価するため、中央画像診断システムの構築を目指す。これに伴い、従来の治療プロトコールの対象から両側性腎芽腫を除外する必要があるため、標準治療プロトコールの見直し作業を行い、改訂した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RTKに対するプロトコールは完成し、倫理審査を受けているところであり、審査が通れば、臨床研究として実施を開始する予定である。両側性腎芽腫に対するプロトコールも、骨子がほぼ完成している。 基礎的研究に関しては、遺伝子の網羅的解析に関しては全国から検体を集積中でありまだ準備中であるが、集積した凍結腫瘍のメチル化解析により、予後を規定する因子として新たにがん抑制遺伝子RASSF1Aのプロモーターメチル化がWilms腫瘍の予後不良因子であることが判明した。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.分子生物学的研究をさらに推し進め、小児腎腫瘍の層別化に有用な分子生物学的マーカーを検索する。また、今回新たに見つかった予後因子である、IUSSF1Aのプロモーターメチル化が、プロトコールに反映できないかを検討する。 2.RTKに対する新規治療プロトコールを用いて、全国的に多施設臨床研究を開始する。 3.両側性腎芽腫のプロトコールを完成し、また中央画像評価システムを構築して、全国的に多施設臨床研究を開始を目指す。
|
Research Products
(9 results)