2012 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚創傷治癒過程におけるKeap1-Nrf2システムの役割と新規瘢痕予防薬の開発
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23390407
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
関堂 充 筑波大学, 医学医療系, 教授 (40372255)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳川 徹 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (10312852)
蕨 栄治 筑波大学, 医学医療系, 講師 (70396612)
正田 純一 筑波大学, 医学医療系, 教授 (90241827)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 酸化ストレス / 創傷治癒 |
Research Abstract |
近年、生体のストレス防御系については、Nrf2-Keap1システムが発見され注目を浴びている。Nrf2-Keap1システムは外界からの新電子試薬をはじめとする種々のストレスに対して、Keap1制御による転写因子Nrf2の核移行と、核内でのNrf2の転写調節によって下流にある各種の防御系遺伝子を発現させて、外界からのストレスに対して生体が防御をおこなうという一連の分子メカニズムのモデルである。Nrf2の抑制因子であるKeap1は細胞質でNrf2と結合し、Nrf2をユビキチン-プロテアソーム系で常時早いターンオーバーで分解しているが、外界からのストレスでKeap1の結合が解離し、転写因子のNrf2が核内移行し各種ストレス応答遺伝子のプロモーターに結合することによってストレス防御系の遺伝子を発現するというシステムである。 今年度は、皮膚創傷治癒過程と本システムとの関係を明らかにするために、Nrf2の活性化に伴い発現が変動することが知られているPrxIとp62に着目して解析を加えた。それぞれの遺伝子欠損(KO)マウスより線維芽細胞(MEF)を単離培養し、紫外線照射に対する影響を解析した。その結果意外なことに、PrxI-KO細胞は紫外線誘導性アポトーシスに有意に易感受性であったが、p62-KO細胞は著明な抗アポトーシスを示した。Nrf2制御下には多数の遺伝子が存在しその多くは抗酸化、細胞防御に働くと推測されているが、紫外線に対する応答に対しては多様な機能を持つことが考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Keap1-Nrf2システムの創傷治癒過程における役割を明らかにするために、その代表的な制御遺伝子の欠損マウス由来の細胞を用いて、紫外線照射に対する影響を明らかにした。個体レベルでの創傷治癒過程の解析に向け、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
PrxI-KO、p62-KOマウス由来の細胞で見られた紫外線誘導性アポトーシスの感受性の違いについて、さらに詳細な分子メカニズムを明らかにする 。マウス個体を用いた創傷治癒過程の解析に向け、創傷モデルの作製を行なう。
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