2013 Fiscal Year Annual Research Report
急性肺傷害における肺組織幹細胞系細胞を用いた細胞治療開発への基礎研究
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23390411
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
内田 篤治郎 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (40262183)
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Project Period (FY) |
2011-11-18 – 2015-03-31
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 急性肺傷害 |
Research Abstract |
ラットの肺より得られた間葉系の培養細胞株を確立し、その性質を検討した。この細胞は、自己増殖能を有し、軟骨細胞や脂肪細胞への分化誘導は難しいものの、容易に骨細胞への分化が誘導できることが示され間葉系幹細胞としての性質を部分的に持っていることが示されている。この細胞と肺胞上皮細胞を共培養した場合に、培養開始後28日を経過した後にもII型上皮の形質を持つ細胞が集合する構造や、上皮による胞状構造が維持されることが示された。今回、ヒトで同様な培養細胞を得るために、ラットにおける培養細胞の採取方法について、検討を加えた。 ラットの肺組織をエラスターゼ処理することで得られた細胞に対して、16時間トリプシン処理を加えても生存し続ける細胞について、CD90およびCD29陽性の細胞をソーティングにより採取し培養した。その結果、こうして得られた細胞は、上記の細胞と同様に容易に骨細胞への分化が誘導できることが示されており、同じ細胞集団で構成されている可能性が示唆された。さらに、こうして得られた細胞について、エンドトキシン肺傷害モデルに投与した場合の治療効果について、検討した。イソフルラン麻酔下に、LPSを5mg/kg経気道的に投与し、18時間後にfMLPとNeutrophil Elastase 680 FASTというin vivoイメージ用の蛍光色素を経気道投与し、その6時間後に好中球エラスターゼの肺内での活性を,IVIS撮影装置で定量評価した。上記細胞を投与したマウスでは、非投与マウスと比較して、好中球エラスターゼ活性が有意に抑制されることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度(平成23年度)は、交付時期が年度後半となったため、基本的な実験系の確立に重点を置き、動物種をラットのみならずマウスも追加することで、特に細胞の表面抗原の検討などにおいて、多様な研究が可能となることを目指した。24年度は2年目に当たり、3次 元構造形成にかかわる因子の候補として、Keratinocyte Growth Factorの関与について検討したが、関与が低いことが予想される結果となっており、他の因子の関与を考えなければならない結果となった。25年度はin vivo実験を開始し、肺由来の細胞の治療効果についても検討したが、現在より多角的な検討を加えている状況である。また、ヒトでの細胞の採取を目指すために、ヒトで同様の細胞を得るための手段を獲得する方法論についても検討した。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度は、まず、ヒト肺線維芽細胞の細胞株より、同様の形質をもつ細胞の分離を試み、可能であれば、倫理委員会の承認を得て、肺組織を用いた検討に移る予定である。
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Research Products
(3 results)